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  1. 福岡県議会 2022-09-08
    令和4年9月定例会(第8日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(桐明 和久君) ただいまから本日の会議を開きます。 *諸般の報告  諸般の報告を行います。  知事から財政調整基金運用状況等報告書健全化判断比率報告書並びに資金不足比率報告書がお手元配付のとおり提出されました。  以上、報告いたします。 *特別委員会委員辞任  次に、このたび、特別委員会の委員についてお手元配付のとおり関係議員から辞任したい旨の申出がありましたので、議長においてこれを許可いたしました。      ────────────────────────────────────────── *特別委員会委員選任 2 ◯議長(桐明 和久君) この際、日程に追加し、特別委員会委員の選任を行います。  お諮りいたします。特別委員会の補欠委員の選任については、これを議長の指名に御一任願い、お手元配付の一覧表のとおり指名いたしたいと思いますが、御異議はありませんか。           〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 3 ◯議長(桐明 和久君) 御異議がありませんので、ただいま指名いたしましたとおり選任することに決定いたしました。 *議案上程  このたび、知事から第一四一号議案「令和三年度福岡県一般会計決算外決算関係議案十九件がお手元配付のとおり提出されましたので、これを一括報告上程いたします。      ────────────────────────────────────────── 第一四一号議案  令和三年度福岡県一般会計決算 第一四二号議案  令和三年度福岡県財政調整基金特別会計決算 第一四三号議案  令和三年度福岡県公債管理特別会計決算 第一四四号議案  令和三年度福岡県市町村振興基金特別会計決算
    第一四五号議案  令和三年度福岡県国民健康保険特別会計決算 第一四六号議案  令和三年度福岡県母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計決算 第一四七号議案  令和三年度福岡県災害救助基金特別会計決算 第一四八号議案  令和三年度福岡県就農支援資金貸付事業特別会計決算 第一四九号議案  令和三年度福岡県県営林造成事業特別会計決算 第一五〇号議案  令和三年度福岡県林業改善資金助成事業特別会計決算 第一五一号議案  令和三年度福岡県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計決算 第一五二号議案  令和三年度福岡県小規模企業者等設備導入資金貸付事業特別会計決算 第一五三号議案  令和三年度福岡県公共用地先行取得事業特別会計決算 第一五四号議案  令和三年度福岡県県営埠頭施設整備運営事業特別会計決算 第一五五号議案  令和三年度福岡県住宅管理特別会計決算 第一五六号議案  令和三年度福岡県病院事業会計決算 第一五七号議案  令和三年度福岡県流域下水道事業会計決算 第一五八号議案  令和三年度福岡県電気事業会計利益の処分及び決算 第一五九号議案  令和三年度福岡県工業用水道事業会計利益の処分及び決算 第一六〇号議案  令和三年度福岡県工業用地造成事業会計決算      ────────────────────────────────────────── 4 ◯議長(桐明 和久君) お諮りいたします。この際、本件については会議規則第十八条の二の規定により、提案理由の説明を省略したいと思いますが、御異議ありませんか。           〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 5 ◯議長(桐明 和久君) 御異議がありませんので、そのように決定いたしました。  日程に従い代表質問を行います。順次発言を許可いたします。田中大士君。(拍手) *田中議員質問 6 ◯四番(田中 大士君)登壇 皆さん、おはようございます。食と緑を守る緑友会福岡県議団の田中大士です。このたび、初めての代表質問の機会を与えていただきました。井上忠敏会長をはじめとする緑友会福岡県議団の皆様はもとより、日頃より御指導いただいております県議会の諸先輩方をはじめ皆様に心より感謝を申し上げます。  さて、七月に安倍元首相が街頭演説中に銃で暗殺されて御逝去されました。謹んで哀悼の意を表しますとともに、心より御冥福をお祈り申し上げます。  それでは質問に入ります。  まず初めに、物価高騰対策について質問します。コロナ禍やウクライナ情勢の緊迫化、円安により、原油をはじめ物価全般が高騰し続けています。さきの参議院選挙でも、物価高騰対策は主要な争点となりました。  そこで、まず物価高騰の本県における現状についてお答えください。  また、その対策のため、本県として六月補正予算を編成し、今回さらに九月補正予算を提案されておりますが、一方で未来に向けた成長発展の取組も進めていかなければなりません。知事のお考えをお聞かせください。  次に、物価高騰に対する本県としての取組についてお伺いします。農業分野では、栽培経費である原油や肥料が高騰しているため、農家所得の減少は避けられません。また、酪農においても飼料価格の高騰が止まりません。  そこで、肥料や飼料などの物価高騰に対し、本県としてどのように取り組むのか、知事の御所見をお伺いします。  また、中小企業も同様に、原油価格など物価高騰に加え、円安の影響に直面しています。制度融資など中小企業の物価高騰対策についてお伺いします。  次に、新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いします。新型コロナウイルス感染症患者が日本で初めて確認されてから二年以上が経過しました。この間、医療機関の皆様におかれましては、県民、地域住民の健康を第一に、柔軟かつ強靱な対応力を持って業務を遂行していただきました。私たちは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、経済活動、社会活動のあらゆる活動が安全、安心な医療提供体制の下に成り立っていることを改めて認識させられました。  そのような中、七月に始まった新型コロナ感染症の第七波は予想以上の大流行になり、八月中旬以降、お盆や夏休みなど人流の増加や社会経済活動の活発化の影響もあって、県内全ての地域で感染者が大幅に増加し、流行が長引いています。確保病床の使用率は八〇%近くまで上昇し、感染者を受け入れる医療機関には大きな負担がかかりました。加えて、病院内の医療従事者がコロナの感染者や濃厚接触者になったことで、感染者の受入れを制限する医療機関も多数あり、休診した診療所もあったとお聞きしています。  そこで知事にお尋ねいたします。服部知事は、新型コロナウイルス感染症対策では、必要な方に適切な医療を提供できるよう、医療提供体制の維持強化に重点を置いて取り組んできたと述べられております。今回の第七波では、病床の逼迫を回避するために、医療提供体制の維持強化にどのように取り組まれたのかお尋ねいたします。  第七波の感染拡大では、新型コロナウイルス感染者の発生届の入力や確認の作業が医療機関や保健所の業務負担になっていることから、医療現場からは見直しを求める声が高まりました。そこで、国は九月二十六日から新型コロナウイルス感染者の全数届出を見直し、発生届の対象を六十五歳以上の高齢者など重症化リスクの高い患者に限定することにより、医療機関や保健所の負担が軽減されることになりました。全国知事会では全数届出見直しへの評価が賛否両論に分かれるなど、果たしてこの見直しが本当によかったのか懸念されるところです。  そこで知事にお尋ねいたします。全数届出の見直しによって、現在、医療機関や保健所などが行っている業務はどのように変わり、発生届の対象が限定されることでどういった問題が生じるのかお伺いします。  次に、デジタル化への対応について数点伺います。  まず、マイナンバーカードの普及状況です。国は、今年度中にほぼ全ての国民に普及させることを目指しています。しかし、全国の普及率は七月末現在で四六%と五割にも届いておりません。  そこで、まず本県におけるマイナンバーカードの普及状況について最新の数値をお答えください。併せて、その数値を基に、国の言う今年度中の目標達成が可能なのか、見解を伺います。  次に、県内市町村の普及状況です。市町村ごとの普及率にも格差があります。県全体の普及率を高めていくためには、普及の進まない市町村への支援が必要と考えます。そこで、いまだ普及が進まない市町村にどのようにてこ入れしていくのか、御所見を伺います。  次に、マイナンバーカードの普及が進まない理由の一つに、保有によるメリットが感じにくいというものがあります。実際、財務省の調査によれば、多くの自治体から、カードの利便性向上を求める声が上がったとのことです。カード申請に補助をつけるだけでなく、カード自体の利便性を高めていかなければ普及率は上がらないと思います。この点については、河野デジタル担当大臣も先日の報道番組で言及していました。  そこで、利便性を高めるため、具体的にどのような機能があればよいか、県民や県内自治体に様々なアイデアを募り、国に伝えることも有効かと思いますが、見解をお聞かせください。  次に、テレワークの推進について伺います。コロナ第七波も訪れた中、県内企業が恒常的にテレワークを実施できる環境を整えることは、BCP(業務継続計画)の観点からも重要です。さらに、テレワーク環境整備は、県外からの移住促進、逆に人口流出を防ぐためにも必要で、従来の働き方改革も含め複合的な観点から取り組むべき施策です。しかし、内閣府の調査では、昨年九月から十月の就業者のテレワーク実施率は三二・二%、今年六月は三〇・六%となかなか進んでいないのが現状です。様々な要因が挙げられますが、その一つには、テレワークスペースの問題があります。自宅ではテレワーク実施が難しい方も多く、結局、仕事のできる環境が職場しかないという方も多いと思います。この点、都市部であれば、民間サービスなども利用できますが、地方部では限られています。東峰村では、県が東峰テレビ局二階の空きスペーステレワークテラス宝珠を開設しましたが、私は地方部こそそういった取組が重要であり、公共施設の空きスペースなどをテレワークスペースに活用してほしいと思っております。中でも私が着目したのが、公民館であります。日頃から地域住民に活用してもらうことを想定しており、ほとんどの住民にとって徒歩圏内の公共施設です。  そこで伺います。住民に一番身近な公民館をはじめとする公共施設をテレワークスペースとして活用する考えについて、県内市町村でそのような活用事例があるのかに触れた上で、御所見をお聞かせください。  また、今後、テレワーク推進のため、例えばモデル市町村を選定し、このような取組を行ってもらい、県内各地に広めるべきだと考えますが、御見解をお聞かせください。  次に、行政サービスへのスマホ活用です。スマートフォン、いわゆるスマホは、我々の生活と切っても切れない必需品になりました。無人島に一つだけ持っていくなら、との問いに、スマホと真剣に答える人もいるようです。それくらい社会に浸透したのがスマホです。このスマホを行政サービスに活用すれば、住民サービスのレベルが格段にアップします。災害情報の即時到達性、広報の利便性は大幅にアップします。行政コストも大幅に削減できます。私の住む福岡市では、スマホで引っ越しや証明の手続ができます。高知県の日高村では、村まるごとデジタル化事業として、スマホ普及率一〇〇%を目指しています。課題は未所有者、特に高齢者に多いのですが、この方々に所有してもらうこと。デジタルにアレルギーを持つ方も多そうですが、粘り強く利便性を理解してもらい、所有するメリットを感じてもらう必要があります。この政策の背景として、若年者からすれば、スマホ未所有者にかける行政コストが高いという潜在的不満があります。スマホ対応していないためにかかるコストをもっと若年層に振り分けてほしい、未来への投資のためにもスマホ普及は大切な政策だと思います。  そこで伺います。行政サービスへのスマホ活用について、その意義と本県の現状、そしてスマホ普及率アップへの取組について見解をお聞かせください。  次に、デジタル人材の活用について伺います。ここまで様々なデジタル化施策についてただしてきましたが、政策実現を果たすには人材が要です。それを担うデジタル人材へのニーズが高まっています。もっとも、デジタル施策を担う市町村が、それぞれ単独で専属の担い手を確保するのは難しいと思います。この点、国は、複数の自治体がデジタル人材を共有するモデル事業を来年度にも実施する方針とのことです。報道によれば、都道府県が市町村と協力するタイプや、連携中枢都市圏といった単位で市町村がまとまるタイプなど、複数の方法で実施されるようです。県内六十市町村を有する本県は、デジタル人材共有には適した地域だと言えます。デジタル化推進のためには、ぜひこのモデル事業に手挙げするべきだと思います。  そこで、このモデル事業に関する情報をどのように把握、分析しているのか、県として応募するのか、あるいは県内市町村で応募する動きがあるのか、その際の支援はどうするのか、以上について伺います。  この項の最後に、防災対策として、大規模通信障害への対応について伺います。先日、KDDIの大規模通信障害が発生し、大混乱が生じました。また、楽天モバイルでも通信障害が発生しました。以前にはNTTドコモでも生じるなど、災害同様、いつ、どこで生じるか分からない怖さがあります。そして、一旦発生すると社会に大混乱を来し、多くの国民が影響を受けます。現代社会で携帯電話が果たしている役割からすれば、災害に匹敵するレベルです。  そこで伺います。先日のKDDIの通信障害、さらに今後、大規模通信障害に対して本県行政、そして県民への影響を防ぐために、どのように対応していくのか、見解を伺います。  次に、パラスポーツの振興について伺います。スポーツ立県福岡を目指して策定された福岡県スポーツ推進計画では、年齢や性別、障がいの有無にかかわらず、全ての人が分け隔てなくスポーツを楽しみ、互いを理解し、尊重しながら共生することを目指しています。  飯塚市では天皇杯・皇后杯飯塚国際車いすテニス大会ジャパンオープン)が開催されています。この大会は、グランドスラムに次ぐグレードのスーパーシリーズに位置づけられる世界有数の大会の一つです。この飯塚国際車いすテニス大会の運営はイイヅカ方式と呼ばれ、二千名を超えるボランティアを中心に運営される、世界でも類いまれな大会です。障がい者スポーツの先進国からも視察に訪れるほどです。この大会では地域住民の国際交流も盛んに行われ、障がい者スポーツへの理解も深まっています。コロナウイルス感染症の影響で、残念ながら三年続けて中止となりましたが、今年は代わりに飯塚オープン二〇二二が開催されました。福岡県青年の船、青年の翼のOB、OGで組織する福岡県青年の会も平成八年から飯塚国際車いすテニス大会のボランティアに毎年関わっています。私自身も福岡県青年の船のOBとして二十数年前からボランティアとして参加し、今年もお手伝いしてきました。  様々なパラスポーツのトップアスリートを県内で目にする機会がある中で、パラスポーツをしたいという子供たちも出てきています。その子供たちの希望をかなえるためには、障がい者でも利用しやすい体育館や競技場が必要です。施設のバリアフリー化はもとより、障がいの有無や年齢、性別にかかわらず、誰もが利用しやすいユニバーサルデザインの施設がもっと必要だという声もあります。  そこで、障がい者が利用しやすいスポーツ施設の整備状況はどのようになっているのか、またそのような施設を県民に広く知っていただくために、県はどのような発信を行っているのかお伺いします。  さらに、今後パラアスリートが育っていくためには、障がいのある方にとって様々なパラスポーツを体験できる機会が大切です。自分に合った競技種目を見つけるきっかけになります。そのような機会を、パラスポーツ団体が連携してつくることが必要だと考えます。また、パラアスリートの育成には、指導者の存在も欠かせません。県は、パラスポーツ団体相互の連携や、パラスポーツ指導者の養成をどのように図っていくのかお伺いします。  次に、今後の観光振興策についてお尋ねします。本県では、観光需要の喚起を図るため、令和三年七月から、県内旅行の費用を一泊当たり最大で五千円を助成する福岡の避密の旅観光キャンペーンを実施してきました。国は今年の七月前半から、全国を対象とした新たな観光需要の支援策を実施することを発表しました。しかし、第七波による感染拡大によって延期されており、一部の新聞報道によりますと、秋にも開始との報道があっているところですが、国からは明確な方針は示されておりません。  裾野の広い観光産業を支援するためには、旅行助成を切れ目なく実施し、利用対象者もさらに広げ、コロナで失われた旅行需要を取り戻すことが必要と考えます。知事の見解と今後の取組をお聞かせください。  また、県民割から始まった現在のキャンペーンでは、旅行会社は助成金を受けるため、訪問先の県ごとに登録手続が必要であり、事務が煩雑であるとの声が上がっています。負担軽減に向けた対応についても要望いたします。  次に、観光需要喚起策について伺います。先般、令和六年春に国内最大級の観光キャンペーンであるJRデスティネーションキャンペーンを本県と大分県の共同で開催すると報じられました。二十五年ぶりの本県での開催となるようです。七月には市町村、観光連盟、観光、交通、商工事業者等で組織する本県の実行委員会が設立され、キャンペーンに向けた体制が整えられたと聞いております。新型コロナに加え、原油価格高騰の影響により厳しい状況が続く観光産業の復活の起爆剤として大いに期待しております。キャンペーンが一過性とならないことも重要だと思います。  そこでお尋ねいたします。デスティネーションキャンペーンに向けどう取り組むのか、知事の意気込みをお聞かせください。  次に、福岡県における伝統的工芸品産業の振興に関してお尋ねいたします。福岡県には、博多織や小石原焼など七品目の経済産業大臣指定伝統的工芸品と、先般新たに認定された小倉織や芦屋釜など三十六品目の福岡県知事指定特産民工芸品があり、まさに伝統工芸の宝庫と言えます。  中でも八女・広川一帯は、国の重要無形文化財の久留米絣の産地であります。久留米絣の柄は、糸を巻きつけて縛るくくりという作業が必要です。昔はこの作業を手作業で行っておりましたが、現在では八十代の女性の職人さんを含む限られた方々で作業が行われています。主産地である久留米絣広川町協同組合では、このような状況を視野に入れ、平成元年に久留米工業高等専門学校と共同開発して、現在、くくり機四台が導入され、作業のほぼ全てを受注して行っております。これらの機械は製作から二十年以上たっており、修繕を繰り返しながら生産を続けています。将来的に、このくくり機を製作すれば、二千万円程度かかる見込みであります。くくり機を新たに導入することは、中期的な課題となっています。一方で、全国的に伝統産業が斜陽化する中、久留米絣の織元は後継者を確保しており、何とか成り立っている業界であると言えますが、今後も継続的に人材を育成し、後継者を確保していかなければ業界を維持していくことが困難になるため、継続的な人材の育成は待ったなしの状況です。また、コロナ禍において、百貨店等における展示販売会などの機会も減少しており、販路の確保、開拓も喫緊の課題です。  久留米絣の事例を一例として取り上げましたが、このように人材育成や販路開拓といった課題は、伝統的工芸品産業界全体の大きな問題となっており、この課題を解決しなければ、長年にわたり受け継がれてきた本県の、ひいては日本の宝である伝統的工芸品の存続が危ぶまれる状況にあると認識しています。  以上を鑑み、県として、久留米絣をはじめとする本県の伝統的工芸品産業の振興を図っていくために、どのような取組を進めていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、農林水産問題についてお伺いします。  まず、都市近郊農業の振興についてお尋ねします。若い新規就農希望者、中でも近年増加している非農家出身の就農希望者の中には、都市やその周辺地域での就農を希望する方が多いという話を聞きます。こうした若い就農希望者は、これまでの農業とは違ったやり方を行ってみたいという思いを持っている方も多く、有機栽培をはじめとした環境負荷に配慮した農業生産や、国内では珍しいズッキーニや白ナスなどの西洋野菜の生産に挑戦してみたいといった、こだわりのある農作物を希望する方も多いということです。また、販路についても、農協に出荷するだけではなく、消費者との直接販売を希望する方も多く、そのために、少量でもいいので様々な種類の作物を作りたいと考えている方もいると聞きます。また、実際にそうした農産物に対する需要も一定程度あるという話も聞いています。さらに、最近では、都市近郊の生産者が近隣の障がい者福祉施設と連携し、野菜の収穫や出荷作業などを行う農福連携の事例も増えつつあります。都市近郊の農業には、こうした可能性を感じるところです。  しかし、こうした少量多品目生産の農業を行うことは、技術的にもハードルが高く、また消費者のニーズの変化の影響を強く受けるため、経営を安定的に行うことは難しい側面もあるということです。確かに、都市近郊農業は、県の農業生産全体から見れば、それほど大きなウエートを占めてはいないのかもしれませんが、消費者との距離が近く、鮮度の高い農産物を届けられる都市近郊農業は、持続可能な循環型社会を構築していく上でも今後ますます重要性を増し、しっかりと残していくべきではないかと考えます。そのためには、先ほど述べたような、小規模でも様々なスタイルで稼げる営農を目指す農業者を、しっかりと育てていくことが必要ではないでしょうか。  そこで知事にお尋ねいたします。県は都市近郊の立地を生かし、少量多品目生産や直接販売などに取り組む生産者に対して、どのような支援を行っているのかお答えください。  次に、都市近郊と同様に、本県農業にとって重要な中山間地域についてお尋ねします。中山間地域は、平地に比べ傾斜が急で、一枚一枚の農地は面積が狭く、形状も不整形なところが多いなど、生産条件が厳しく、高齢化等により、草刈りをはじめとした営農活動の継続すら難しい地域もあると聞きます。一方で、近年では、豊かな自然環境や景観、伝統的文化や農林水産物といった地域資源に着目し、農泊やグランピング、フォレストアドベンチャーといった体験型の観光なども盛んになってきています。ただ、本当の意味で、中山間地域の集落や、そこに住む人々自身が活力を取り戻し、その地で今後も仕事に従事し、生活を続けていくためには、やはり地域の主要産業である農業を、その気候や風土に合った農産物の生産や販売を通じ振興していくことが不可欠なのではないでしょうか。  そこで知事にお伺いします。県が作成した今回の農林水産振興基本計画では、中山間地域の特性に合った収益性の高い農産物の栽培や特産品作りを推進することにより、地域の活力を向上していくとしています。先ほど申し上げたような中山間地域の現状を踏まえ、県はこの取組をどのように進めているのか、具体的にお答えください。  次に、離島における漁業資源作りと出荷対策について伺います。本県においては、県下最大の面積を持つ宗像市の大島をはじめ、離島振興法に規定された八つの離島に約二千名の方々が生活されています。私の地元福岡市西区にも玄界島と小呂島の二つの離島があり、玄界島では定置網や釣りによりブリやマダイ、サワラが、小呂島ではまき網や刺し網によってアジやヒラメが漁獲されており、共通してアワビやサザエ、ウニなどの磯漁業も盛んに行われ、四季を通じて旬の水産物が水揚げされております。こうした島では、青く澄んだ海と豊かな海の資源に加え、昔からの信仰などを大切に守りながら、多くの方が基幹産業である漁業を営んでおられます。一方で、島で取れた水産物を市場まで出荷する際には、島内で一旦荷を集めて運搬船で本土側の漁港に運ぶ必要があり、そこからトラックに移し替えて市場に持っていくため、鮮度が落ちやすいという不利な面も持ち合わせております。漁業の繁栄は島の繁栄、漁業の衰退は島の衰退。島の将来はまさに漁業にかかっていると言っても過言ではありません。  そこでお伺いします。離島では、漁業が極めて重要な産業であり、将来にわたり発展していくためには資源作りと出荷対策が重要であると考えますが、県ではどのような対策を講じているのか、お答えください。  次に、排水ポンプ車の配備状況と運用方法についてお尋ねします。近年、全国的に大雨による自然災害が激甚化、頻発化しております。本県におきましても、平成二十九年以降、五年連続での大雨特別警報が発表され、本年も豪雨被害が発生しております。大雨による浸水被害に備え、本県では排水ポンプ車を六台追加で導入し、現在十二台の体制で浸水対策の強化が図られました。本格的な内水氾濫対策は、排水機場の増設などハード面の整備も重要ではありますが、自由に移動できる排水ポンプ車は緊急時には大きな役割を果たします。  そこで、排水ポンプ車の県内における配備状況と運用方法をお聞かせください。  併せて、本年も豪雨災害が発生しておりますが、排水ポンプ車の追加導入以降に稼働した実績があればお聞かせください。  次に、GIGAスクール活用における諸課題についてお尋ねいたします。ICTを基盤とした遠隔技術などの最適な先端技術を活用し、子供一人一台のパソコンやタブレットの端末と、高速大容量の通信ネットワークなどの学校ICT環境を整備、活用することで、多様な子供たち一人一人にとって最適な学びと協働的な学びをともに実現して教育の質を高めようと、GIGAスクール構想が令和元年度よりスタートしました。高等学校においては本年度より一人一台端末が順次整備されています。授業でのICT機器の利用が進み、ネットワークへの負荷が増大することで、通信環境の問題も顕在化してくると思います。  そこで教育長にお尋ねいたします。公立小中学校の授業において、ICT機器はどの程度活用されているのか、現状をお答えください。  また、ICT機器の活用が進む中で、通信環境の問題に対しどのように対応がなされているのか、お尋ねいたします。  現状、端末の利用は授業の一部にとどまっているようですが、令和六年度には教科書を完全デジタル化したデジタル教科書の本格的な導入が計画されています。さらに、子供一人一人の習熟度、理解度に応じた内容で学習でき、進捗状況を容易に把握できるデジタルドリルの活用も進むものと思われ、ICTが日常的に活用されていくものと考えます。  そこで教育長にお尋ねいたします。本県として、これからの学校教育では子供たちにどのような力を育もうとしているのか、またICTにどのような役割、効果を求めているのか、お尋ねいたします。  GIGAスクール構想成功のためには、教育現場で教師がICTを使いこなし、効果的な授業ができるよう支援していく必要がありますが、併せてICTの活用を技術的に支援するICT支援員の役割は大きく、その配置を含め学校に対する支援が不可欠です。今後、一人一台端末をはじめとするICTの活用推進に向けた学校への支援体制がますます重要になると考えますが、教育長の見解をお尋ねいたします。  GIGAスクール構想を実現するために、本県ではこれまでしっかり予算措置ができてきましたが、情報通信技術は日進月歩で進化しています。次の一人一台端末の更新の時期には、相当の予算措置が必要と思われますが、どのように対応していくのかお尋ねいたします。  次に、困難な環境にある児童生徒への支援についてお尋ねいたします。今年三月に福岡県教育委員会が出した福岡県不登校児童生徒支援リーフレットによると、不登校の子供は近年急な増加となっています。また、学校や学校外で相談や指導を受けていない子供が三割以上も存在している現状に対して、どのように教育の機会を確保していくかが喫緊の課題となっています。  ほかにも、学校には支援を必要としている子供がたくさんいます。例えば、いじめや貧困、児童虐待、ヤングケアラーなど、学校教育の現場で子供たちを取り巻く困難な状況は多様化しています。さらに、核家族化等による家庭の機能低下が見られることや近所付き合いの希薄化により、厳しい環境にある家庭が孤立していく状況が見られています。その結果、そのことに周囲が気づかないままになり、困り事が悪化しているケースも多くあると聞きます。加えて、ここ二年余りは、コロナ感染症により家庭の経済状況が悪化したり、学校での活動が制限されることにより多くのストレスを抱えたりするなどの課題も発生して、子供たちの困難な状況はますます複雑化しています。そのことが子供たちの育ちに大きな影響を与えるのではないかと懸念しています。このような環境を改善していくことを期待されるのが、スクールソーシャルワーカーです。  そこで教育長に伺います。スクールソーシャルワーカーの重要性についてどのように認識されていますか。また、困難な環境にある児童生徒一人一人の状況に応じた支援を行うためにも、スクールソーシャルワーカーの対応能力を高める必要があると考えますが、県の取組についてお答えください。  次に、水難事故防止教育についてお尋ねいたします。昨年の六月議会の一般質問でも質問させていただきましたが、今年は多くの学校で水泳の授業が再開されたようですので、改めて質問いたします。  私は、一般社団法人水難学会という水難について研究する団体に所属し、福岡着衣泳会という水難事故防止の普及団体を率いて、福岡市をはじめ糟屋郡や古賀市などの福岡市周辺の小学校や、福岡県立総合プールなどで水難事故防止の授業や講習を行っています。今年は十一の学校や施設、団体を対象に千五百人余りに水難事故の防止の指導を行いました。新型コロナウイルス感染症については、なかなか終息の兆しが見えない状況ではありますが、今年は行動制限が緩和されたことにより、夏季に海や川などで水遊びなどのレジャーを行う機会も増え、子供たちにとっては充実した夏休みになったのではないかと思います。  しかしながら、報道等によりますと、今年は昨年以上に水難死亡事故が発生しています。また、一次災害だけではなく、落水者を助けに行って溺れる二次災害も後を絶ちません。水難事故の半数以上は七月、八月に集中して発生しています。また、子供が水難事故に遭遇した場所を見ると、昨年に比べて河川での事故が増加しています。加えて、年齢層別の死者、行方不明者数を見ると、子供のうち小学生の数が最も多い状況です。水難事故は、レジャーだけでなく、歩行中や作業中などの様々な場面で起きてしまいます。  このような中、子供たちの命を守っていくためには、やはり学校において水泳の授業の中で、溺れそうになった際の対処の仕方や二次災害を防ぐための方法などについての指導、つまり自分の命を守るための命の授業を、より充実させていくことが重要ではないでしょうか。  そこで教育長に伺います。小学校における水難事故防止に向けた水泳指導の重要性についてどのようにお考えかお伺いします。  また、子供たちが水難事故に遭遇したときに適切に対応できるようにするためには、指導される先生方の指導力も高めておくことが重要と考えています。先生方の指導力向上に向け、県教育委員会としてどのように取り組んでいるのかお尋ねいたします。  最後に、警察本部長に伺います。岸田政権の下、経済安全保障政策が推進されています。本年五月の経済安全保障推進法の成立により、今後これまで以上に経済安全保障の観点から経済活動を行う必要が生じ、企業や関係機関も技術情報等の流出対策やサイバー攻撃対策など様々な対策が必要となります。その一方で、経済安全保障は比較的新しい概念であり、国による立入検査や、重いもので二年以下の懲役もしくは百万円以下の罰金という罰則が定められているにもかかわらず、企業等も何がタブーなのか十分理解しているとは言い難く、今後の広報啓発も重要な課題です。警察庁、都道府県警や公安調査庁では、例えば何度か一緒に食事をしたら技術情報等の提供を求められるようになった、会社のサーバーに特定の従業員から大量のアクセスがあるなどの具体例を挙げ、広報啓発に取り組んでいるようです。県警察においても、これらについて取組を行っていると思いますので、以下質問します。  まず、経済安全保障の推進のため、警察においてはいかなる認識の下、どのような取組を行っているのかお聞かせください。  また、本県においては、特にどのような分野で対策の必要が高いのか、特徴があれば御教示ください。  経済安全保障推進法の審議過程で、当時の小林大臣は、経済安全保障は幅広い概念で確立した定義があるわけではないとしつつ、一言で言えば国益を経済面から確保することと国会答弁されています。これを本県に当てはめれば、福岡県の県益を経済面から確保することであります。これを実現するためには、経済安全保障推進法にのっとった対策を徹底することが重要です。その過程においては、県の他部局はもとより関係機関と緊密に連携し、法の抜け穴を生じさせないことが肝要でありますので、最後にその点について警察本部長の決意を伺い、代表質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 7 ◯議長(桐明 和久君) 服部知事。 *知事答弁 8 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 皆さん、おはようございます。御答弁を申し上げます。
     まず、物価高騰の本県における現状についてお尋ねがございました。日本銀行が発表いたしました企業間の取引を示します八月の国内企業物価指数によりますと、電力・都市ガス・水道が前年同月比三三・四%増となるなど幅広い分野で上昇いたしまして、全体でも九・〇%増と十八か月連続の増加となっております。一方で、日本銀行の企業短期経済観測調査いわゆる日銀短観等によりますと、原材料価格の販売価格への転嫁が依然として十分には進んでおらず、農林水産業や製造業をはじめ様々な分野の事業者において、経営への影響が及んでいるものと認識いたしております。県民生活におきましては、総務省が発表いたしました七月の消費者物価指数を見ますと、全国で前年同月比二・四%の増、九州で二・二%の増となりますが、そのうち食料では、全国で四・四%の増、九州で四・五%増、光熱水費は、全国で一四・七%増、九州では九・七%増と生活に不可欠な商品、サービスの価格の上昇が続いておりまして、県民の皆様の負担感が増してきているものと認識いたしております。  次に、未来に向けた成長発展の取組についてでございます。二年半以上にわたるコロナ禍で打撃を受け、さらにロシアによるウクライナ軍事侵略により、原油価格・物価高騰が続く中におきましても、将来の産業や経済発展のための種をまき、芽を育てていくことで税源を涵養し、危機に強い財政基盤をつくることが重要でございます。  このため、提案中の九月補正予算において、本県経済の発展と活力の原動力であり、雇用の八割を担っていただいております中小企業の皆様を支えるため、デジタル技術を活用した生産性の向上や新技術、新製品開発等を支援してまいります。また、グリーンデバイス開発・生産拠点構想の実現に向けまして、県内の半導体関連企業では人材確保が喫緊の課題となっておりますことから、新たに県内外の理工系学生を対象としたウェブインターンシップやプロモーションツアー等を実施してまいります。さらに、二〇五〇年のカーボンニュートラルを目指す中、水素を動力源とするFCトラックの早期普及を図りますため、県内物流事業者への導入支援や運行データ等の情報発信により、導入意欲の喚起を図ってまいります。本県の基幹産業でございます農業分野では、熟練農業者あまおうのたくみが持つ高品質、高収量のあまおう栽培技術を新規就農者の皆さんに伝承を行ってまいります。このような明日につながる投資により、コロナ禍における原油価格・物価高騰を乗り越えるだけではなく、本県の経済構造を社会経済情勢の変化に対し強靱で持続可能なものに変革してまいりたいと考えております。  農業分野での物価高騰対策についてでございます。農産物の生産に欠かせない化学肥料や家畜の餌となる飼料につきましては、その原料のほとんどを輸入に依存しておりますことから、価格の高騰により農業経営は厳しい状況が続いております。このため県では、こうした影響を受ける生産者を支えるとともに、リスクに強い体制に転換を図るため、必要な予算を本議会に御提案申し上げております。  具体的には、国に先駆けて打ち出しました県独自の肥料価格高騰対策は、その後に国の新たな対策が示されましたことから、その肥料購入助成の要件でございます二つの化学肥料低減の取組を上回る、三つの取組を実施する農業者に対し、ワンヘルスの推進にもつなげますため、県独自の上乗せ助成を実施したいと考えております。また、畜産農家の経営継続を図りますため、県独自の支援策として、配合飼料や乾牧草の購入に対する助成を新たに実施いたしますとともに、配合飼料原料の自給率向上に向け、収穫機械や飼料用粉砕機など生産、加工に必要な機械の導入を支援してまいりたいと考えております。加えて、肥料や飼料の価格高騰に対応するためのセーフティーネットを創設、拡充するよう、県議会の皆様と共に国に対し要請を行っているところでございます。県といたしましては、こうした取組を進め、農業経営が安定するよう支援してまいります。  次に、中小企業の物価高騰対策についてお尋ねがございました。中小企業は、雇用の八割を担う本県経済発展の原動力でございます。コロナ禍や原油価格・物価高騰の影響が深刻化する中で、本県の中小企業支援策につきましては、事業継続の支援と危機に強い経済構造の実現、言わば明日につながる支援、この二つを柱に据えて取り組んでおるところでございます。さきの六月議会におきましては、事業継続の支援として、プレミアムつき地域商品券の発行に対する支援や、本県を修学旅行の行程に組み込んだ県内外の学校に対するバス代の助成を、そして明日につながる支援として、国の持続化補助金やものづくり補助金に対する上乗せ補助、また経営革新計画に取り組みます中小企業に対する新商品、新サービスの開発や経費削減への支援などにつきまして補正予算を御議決いただいたところでございます。  これに加えまして、さらなる原油価格・物価高騰に対応していくための新たな対策として、今回九月議会では、事業継続の支援として、県制度融資に保証料を全額県が負担いたします物価高騰特別枠の創設、トラック運送事業者が燃費向上のために行うエコタイヤの購入に対する助成制度の創設、先ほど申し上げました修学旅行のバス代助成の倍増、そして明日につながる支援として、デジタル技術を活用した生産性向上に必要な設備導入に対する支援の拡充、新技術、新製品の開発に対する助成や、工業技術センターにおける低コスト化製品開発促進のための機器整備などの補正予算をお願いしておるところでございます。今後とも、厳しい経営環境にある県内中小企業の事業継続とさらなる成長発展に向けて、しっかりと取り組んでまいります。  新型コロナに関しまして、第七波における医療提供体制の維持強化についてでございます。福岡コロナ特別警報発動後、入院患者を受け入れていただきます病床のさらなる確保に努めまして、新たに三百四十三床を増床し、確保病床は二千二十四床に拡大したところでございます。また、本県独自の基準を用いた陽性判明時のトリアージを徹底し、軽症、無症状の患者は御自宅で療養、軽症のうち重症化リスクの高い患者は宿泊療養施設で療養いただくことで、病床の効率的な運用を図ります。さらに、入院治療の必要がなくなった軽症患者の宿泊療養施設への入所を促進いたしますとともに、回復された患者の後方支援病院への転院を促進いたしました。加えて、宿泊療養者や自宅療養者で入院が必要となった患者のうち、長時間搬送先が決まらない方を受け入れるため、待機ステーションを開設いたしました。こうした取組により、病床使用率は第六波におけるピークは八六・七%でございましたが、第七波の現在までのピークは七八・三%となっております。  次に、全数届出の見直しについてでございます。現行の制度では、陽性者を診断した医療機関は発生届の作成に、発生届を受理した保健所は、その登録事務や重症化リスクが高い方の抽出に追われ、いずれも事務作業が大きな負担となっております。見直し後は、発生届の対象の方が限定され、これらの事務作業が大幅に軽減いたしますため、医療機関は患者の診療に専念していただき、保健所は重症化リスクが高い方々の受診や入院の調整、健康観察、相談対応等をより丁寧に行い、こうした方々の命と健康を守ることができるようになります。  一方で、発生届の対象外の方は、保健所から医療支援や生活支援の情報が届かなくなりますことで、これまでどおりに支援が受けられるのか、どこに相談すればよいのか、不安に感じることが懸念をされます。このため、届出対象外の方にも安心して療養生活を過ごしていただけますよう、保健所が担っております、療養中に症状が悪化したときの相談対応、宿泊療養施設の入所受付、食料品等が入手困難な方への生活支援、自己検査で陽性となった方の陽性登録、こういった機能に加えまして、保健所に多数、現在問合せが寄せられております療養証明に関する相談対応、この機能を福岡県独自に新たに加え、これらをまとめまして健康フォローアップセンターとして御案内をしてまいります。具体的には、医療機関で検査を受ける方には受診をされるときに、県が配付した検査キット等で陽性者登録をされる方には登録をされるときに、フォローアップセンターの各連絡先を案内し、その後の支援に確実につなげてまいります。  次に、マイナンバーカードの普及状況についてでございます。県内交付率は、今年の八月末現在で四七・九%となっておりまして、全国平均の四七・四%を上回っております。国は、カードの普及に向け、新規取得や健康保険証としての利用登録をすることでマイナポイントを付与する取組を行っておりまして、市町村においても広報や窓口でのポイント申請支援を行うなどの取組を行っております。今年度末までに、ほぼ全国民に行き渡ることを目指すという国の目標につきましては、平日昼間のマイナンバーカードの申請や受け取りが難しいなどの課題もございまして、休日、夜間の申請受付や商業施設等への出張申請受付などの取組をさらに進めていく必要があると考えております。  マイナンバーカードの普及促進についてでございます。県ではマイナンバーカードの普及促進に向けまして、市町村に対する説明会や意見交換会を開催し、商業施設における出張申請受付の実施などを依頼いたしますとともに、交付率が高い市町村の取組事例の共有などを図ってまいりました。特に、カードの交付率が伸びていない市町村につきましては、トップダウンで強力に普及を進めてもらいますため、六月以降、市町村振興局長が市町村長等を直接訪問いたしまして、積極的な取組を促してまいったところでございます。また、県内の高齢者施設や障がい者施設、商工団体等に対し、市町村の出張申請受付の実施状況を取りまとめて周知を行い、その活用を呼びかけるなど、出張申請受付に取り組む市町村を支援しております。さらに、現在県では、大型商業施設と市町村との間を調整するなど、商業施設の立地市町村だけではなく周辺の市町村も含めた合同の出張申請受付の実現に向けて協議を進めているところでございます。加えまして、出張申請受付の場所や回数のさらなる拡大について市町村に働きかけ、お住まいの場所にかかわらず希望する方が円滑にカードを取得できるよう取り組んでまいります。  マイナンバーカードのさらなる利便性向上についてでございます。現在、国において運転免許証との一体化に向けました検討や、引っ越し手続をワンストップでできるシステムの開発等、利用活用の幅を広げるための様々な取組が進められております。県といたしましては、先ほど申し上げました市町村との協議の場で、住民の皆様の声も共有し、カードの利便性を高める方法について意見交換を行ってまいります。  次に、デジタル化への対応でございますが、公共施設のテレワークスペースとしての活用についてお尋ねがございました。現在、県には、聞き取りによりますと、民間も含めて少なくとも二十四の市町村に四十六のテレワーク施設が設置されております。このうち、県や市町村が設置または運営に関与しておりますのは十八施設でございます。その内訳は、県では、東峰村のテレビ局の空きスペースを活用して先端的なデジタル拠点テレワークテラス宝珠を整備いたしました。また市町村では、使われなくなった集会所や図書館、廃校など公共施設を活用して整備しているものが七施設あり、宿泊できる施設もございます。このほか、市町村が温泉施設や料亭、空き家を改修して整備したものなどが十施設ございます。公共施設など住民の身近なところにテレワークスペースが整備されますことは、多様な働き方を促進いたしますとともに、地域の魅力を高めることにもつながりまして、地方への移住、定住を進める上でも大変有効であると考えます。このため、先ほど御紹介いたしました他の市町村のモデルとなるような先進的な事例につきまして市町村へ情報提供いたしますとともに、国の交付金の活用に係る助言を行いますなど、これから市町村をきめ細かに支援してまいります。併せまして、県内のテレワークスペースを移住・定住ポータルサイトで情報発信するなど、さらなる利用の拡大にも取り組んでまいります。  行政サービスへのスマートフォンの活用についてでございます。スマートフォンは、昨年八月末現在での県民の保有率は七六・六%に上るなど、インターネットを利用するための主要な端末となっております。このようなことを踏まえまして、県がスマートフォンを活用した便利なサービスを提供いたしますことは、県民の利便性向上に資するものであると考えております。このため、これまで県のホームページをスマートフォンに対応して表示できるようにいたしますとともに、電子申請サービスの利用を可能といたしました。さらに、自動車税のキャッシュレス納付や、SNSを活用した新型コロナウイルス感染症関連情報の提供、児童生徒のためのネットトラブル相談窓口の開設など、スマートフォンを活用した様々なサービスを提供してまいりました。今年度も、既存の防災メール・まもるくんの機能を強化して、利用者の位置情報に応じた気象情報や避難情報等を提供いたしますアプリの開発等を予定しております。今後も、行政サービスの様々な場面においてスマートフォンの活用を進めてまいります。  このスマートフォンの普及率アップへの対処についてでございます。現在国では、高齢者などのデジタル活用に対する不安の解消に向けまして、携帯会社などの民間事業者によるスマートフォンに関する講習会の開催や、市町村による講習会への講師派遣などの支援を実施しております。県といたしましても、国と連携を図り、市町村にこういった事業の活用を促しますとともに、希望する市町村と携帯会社とのマッチングを行いますなど、各地域の取組を後押ししておるところでございます。今後もこれらの取組を通じまして、県におけるスマートフォンの普及率向上を進めてまいります。  デジタル人材の活用についてお尋ねがございました。県では、今年度から新たに市町村のデジタル化を支援いたしますために開始をいたしましたDXプロデューサー事業におきまして、専門人材を六名確保し、研修会を開催いたしますとともに、個々の市町村に、このプロデューサーを派遣をいたしております。これまで市町村幹部や職員向けの研修会、計六回実施をいたしまして、五十を超える市町村から延べ四百九十人が参加をしておられます。また、個別の市町村への支援といたしましては、十二市町に対し、DX計画の策定やIT事業者との協議調整、職員の人材育成などの支援を実施しているところでございます。  この取組は、自治体DXに関する国の検討会におきまして、デジタル人材のシェアリングの先進事例として紹介をされました。国は、この検討会での議論を踏まえ、来年度の概算要求において、複数の自治体が外部のデジタルに関する専門人材を共有する新規事業を計画しているところでございます。現在、国から情報収集を行っておりますが、事業の詳細は検討中とのことでございまして、情報が入り次第、事業の活用について検討を進めてまいります。  大規模通信障害への対応についてでございます。今年七月二日に発生をいたしましたKDDIの通信障害は、二日半にわたって全国の携帯電話利用者の通話やデータ通信に支障を来しました。県の行政事務におきましては、新型コロナウイルス感染症の自宅療養者の携帯電話への連絡や、県の相談業務の委託事業者のスタッフ間の連絡が一時不通になりました。このため、ショートメールや固定電話への連絡に切り替えますとともに、必要な場合は自宅へ直接訪問するなど、業務を滞らせることのないよう対応いたしました。今回の事案を踏まえ、国は通信障害や自然災害等の非常時においても携帯電話が継続的に利用できるよう、臨時的に他の事業者のネットワークに乗り換えることができる事業者間ローミングの実現に向けて検討を進めることといたしておりまして、県といたしましてもこうした国の動きを注視してまいります。  次に、パラスポーツの振興につきまして、障がいのある方が利用しやすいスポーツ施設の整備状況についてお尋ねがございました。県では、久留米総合スポーツセンターや、野球場などを備えました春日公園など十一か所全ての県立スポーツ施設におきまして、多目的トイレの設置や競技場に入場する際の段差解消といったバリアフリーに対応した整備を行っております。また、アクシオン福岡やクローバープラザ、筑豊緑地テニス場などでは、障がいのある方が気軽にスポーツを楽しんでいただけますよう、競技用車椅子やボッチャなどのパラスポーツ用具を配置し、無料で貸出しを行っております。市町村のスポーツ施設では、車椅子で利用できるトイレが整備されている施設が約六割、競技場に入場する際の段差解消をしている施設が約五割という状況でございます。県におきましては、障がいのある方に気軽にスポーツ施設を利用していただくため、施設のバリアフリー情報を検索できるホームページふくおかバリアフリーマップをはじめ福岡県スポーツ振興センターや福岡県スポーツ推進基金のホームページにおきまして、県内のスポーツ施設のバリアフリー情報を発信しているところでございます。  パラアスリートの育成についてでございます。障がいのある方のアスリートとしての可能性を確実に見いだすためには、競技団体が連携して選手の適性を見極めることが重要でございます。例えば、車椅子競技においては、テニス、バスケットボール、陸上など複数競技の適性を見た上で実施種目を決めていくことが必要となります。このため、パラスポーツタレント発掘・育成事業を今年度から新たに実施することといたしておりまして、車椅子テニスや車椅子バスケットボール、パラ陸上などの競技団体が連携し、測定結果や競技体験の様子を基に、参加者の志向や競技適性を見極めた上で適切な競技に導くこと、複数の競技に共通いたします基礎的なプログラムを構築すること、こういったことに取り組むことといたしております。  また、パラアスリートの育成には障がいの区分に応じた適切な指導者が不可欠でございます。県ではこれまで、水泳競技におきまして、日本パラ水泳連盟との連携の下で、中央競技団体の拠点でしか受講することができませんでした公認指導者養成プログラムを本県で開催することといたしまして、県内に複数の有資格指導者を養成してきたところでございます。今後は、この水泳競技をモデルとしまして、他の競技につきましても日本パラスポーツ協会や中央競技団体の協力の下で競技別公認指導者の養成に取り組んでまいります。また、パラスポーツタレント発掘・育成事業において、参加者の実施種目を決定し、競技団体とつなぐオーディションの合同実施や、育成途中での競技転向に関する競技会の開催など、競技間の連携の強化を図りまして、世界の舞台に立つことができるパラアスリートを福岡県において育成してまいります。  次に、旅行需要の喚起策についてお尋ねがございました。県では、旅行需要を喚起するため、昨年七月から福岡の避密の旅観光キャンペーンを実施しております。その間、新型コロナの感染が拡大をいたしまして、緊急事態措置や蔓延防止等重点措置などが適用されていた期間には販売、利用を一時停止した時期もございましたが、旅行需要をさらに広域で喚起いたしますため、今年四月から利用対象者を九州・山口各県へと順次拡大をいたしまして、期間についても九月三十日まで延長したところでございます。こうした旅行需要喚起策により、宿泊旅行統計調査によりますと、県内の日本人延べ宿泊者数は、コロナ前と比べますと八割程度まで回復をいたしております。しかしながら、インバウンドを含めた県内全体の延べ宿泊者数は六割程度の回復にとどまっておりまして、観光関連産業にとって依然として厳しい状況が続いておるところでございます。このため、感染防止対策をしっかり取りながら、さらに広域的な観光キャンペーンを切れ目なく実施してまいりたいと考えております。  JRデスティネーションキャンペーンに向けた取組についてでございます。令和六年四月のキャンペーン開始に向けまして、この七月、福岡・大分デスティネーションキャンペーン実行委員会の設立総会を開催いたしました。この総会において、観光産業の復活と新たなステージへの挑戦など三つの基本方針を設定し、福岡、大分両県が一体となって、県境のない観光を実現していくこととしたところでございます。さらに、同月、県内の市町村や観光に関わる団体、事業者によります福岡県デスティネーションキャンペーン実行委員会を設立し、観光客の誘客促進や観光地域づくりを強力に取り組むことといたしております。また、この実現のため、庁内には関係部局で構成をいたします専門部会を設置し、体制整備を図ったところでございます。  福岡・大分実行委員会では、来年五月、全国の旅行会社を対象とした全国宣伝販売促進会議を開催いたします。これに向けまして、福岡県実行委員会には、商品開発部会、販売促進部会、おもてなし部会、この三つの部会を設置し、観光事業者等の関係団体と協力して観光資源の開発や磨き上げ、二次交通対策などの受入れ体制の構築を進めてまいります。また、広く一般からキャッチコピーの募集を行ったところでございまして、この最優秀作品につきましては、積極的にPRに活用してまいります。また、来年夏には九州北部豪雨で甚大な被害を被った日田彦山線がBRTひこぼしラインとして復旧、開業を予定いたしております。両県をつなぐこの日田彦山線をはじめ、日豊本線、久大本線、そして沿線の観光素材を活用いたしまして広域的な観光を実現してまいります。こうしたことにより、このキャンペーンを契機として、観光産業の復興、さらなる成長を図ってまいりたいと考えております。  本県における伝統的工芸品産業の振興についてお尋ねがございました。伝統的工芸品産業は、それぞれの地域に密着した生活用品を提供し、私たちの生活に豊かさと潤いを与える産業として、長い歴史の中で育まれてきたものでございまして、その振興を図っていくことは、地域経済の活性化のために大変重要なものでございます。そのため県では、産地組合が国や県の補助事業を活用するために必要な伝統的工芸品産業の振興に関する法律に基づきます振興計画の策定支援を行っております。現在、久留米絣協同組合をはじめ五つの産地組合が振興計画の認定を受けておりまして、国や県の補助事業を活用し、技術継承のための人材育成や首都圏での展示販売会などに取り組んでおります。  また、県では県庁十一階のよかもん広場やアクロス福岡の匠ギャラリー、東京のアンテナレストランにおきまして伝統的工芸品の展示販売を行いますとともに、デパートでの物産展や福岡県ウェブ物産展での販売及び県内外からバイヤーを招聘いたしました商談会の開催などによりまして、販路拡大に努めております。併せまして、新たな購買層を開拓いたしますため、産地組合と共同で、若者が多く集まります福岡市天神のソラリアプラザで伝統的工芸品展を開催しております。さらに今年度からは、宿泊施設のエントランススペース等への伝統的工芸品の導入経費の助成を行います。建材やインテリアなど新たな分野での需要機会を創出いたしますことで、伝統的工芸品のさらなる販路拡大を図っておるところでございます。今後も、技術の継承を図るための人材育成や、需要拡大のための販売支援などを通じまして、伝統的工芸品産業の振興に努めてまいります。  次に、農林水産問題につきまして、都市近郊の農業者への支援についてでございます。都市近郊農業は、消費地に近い一方で、経営規模の拡大が難しいという状況にございます。こうした状況から、限られた農地を最大限活用して収益を上げるため、消費者ニーズに即した作物を少量多品目で生産し、通年での出荷を可能とする経営を確立する必要がございます。このため県では、市場調査を踏まえ、最適な品目の組合せを提案し、直売所を対象とした年間の出荷計画の作成を支援いたしますとともに、品目ごとに肥培管理などの技術指導を行っております。  また、さらなる収益の向上を図りますため、農業者がSNSを活用して効果的な情報発信を行うための研修会を開催するとともに、県の公式LINEを活用してふくおか地産地消応援の店へのPRを行うなど、飲食店やバイヤーとの直接取引につながるよう支援を行っております。その結果、県内外のレストランやお菓子屋さんとの取引も始まっております。県といたしましては、引き続きこうした取組を進め、都市近郊の農業者の経営確立を図ってまいります。  中山間地域の活力向上についてでございます。県では、中山間地域の営農活動が継続できますよう、国の中山間地域等直接支払制度を活用し、水路の泥上げや農道の草刈りといった取組を支援しております。こういった中、高齢化に伴い、活動継続が困難となっている地域も出てきておりますことから、こうした地域においても活動が継続できるよう、周辺集落との連携を進めております。さらに、農産物の収穫作業や草刈りなどのボランティアを募る中山間応援サポーター制度につきましては、これまでに二千五百七十七名の方に登録をいただいておりまして、昨年度は地域からの支援要請に応じ、二百名の方に参画していただいております。また、県の普及センターでは、生産者やJA等と連携をいたしまして、中山間地域の特性に合った収益性の高い農産物の栽培や特産物作りを進めております。具体的には、気候や土壌条件に合った複数の品目の中から、地域の生産者グループと最適な品目を選定をいたしまして、栽培講習会などを通じて普及を図っているところでございます。こうした手法により、うきは市においては、基幹品目でございます花卉とは出荷時期が重ならない温州ミカンを試験導入しまして、この秋から直売所で販売を開始するという事例なども出てきております。県といたしましては、引き続き、中山間地域において営農継続を支援しますとともに、普及センターが中心となって収益性の高い農産物の栽培や特産物作りを進めてまいります。  離島における漁業資源作りと出荷対策についてお尋ねがございました。県では、資源作りのため、魚のすみかとなる魚礁を設置いたしますとともに、漁業者が行うアワビやアカウニなどの種苗放流や、小さな魚を海に戻すといった資源管理の取組を支援しております。また出荷対策につきましては、漁獲した水産物の鮮度が保たれるよう、魚の締め方や冷やし方の技術指導を行うとともに、製氷施設や鮮魚運搬船などの整備を支援しております。こうして出荷された鮮度の高いサワラや釣りアジなどが、市場関係者からは高く評価をされているところでございます。さらに、製品開発から販売、PRに至るまで、島の水産物を利用した魅力ある加工品作りを支援しております。その結果、小呂島のブリを使ったしまごはんや、大島のアカモクなどが量販店やウェブなどで販売され、好評をいただいております。県といたしましては、今後ともこうした取組により、離島における漁業の振興を進めてまいります。  県土整備問題につきまして、排水ポンプ車の配備状況と運用方法についてお尋ねがございました。県では、排水ポンプ車を福岡、北九州、筑豊、筑後南部の四地域にそれぞれ二台、また甚大な浸水被害が続いております筑後北部地域に四台、合計十二台配備いたしております。災害時の排水ポンプ車の運用方法につきましては、市町村長から要請があった場合もしくは県土整備事務所長が必要と判断した場合に出動することといたしております。また、大規模な浸水被害が発生し、地域内での対応が困難な場合には、排水ポンプ車を所有しております国などの関係機関と調整を図り、広域的かつ効果的に県の所有車両を配備し、被害の軽減に努めてまいります。今年七月の追加導入以降の稼働状況につきましては、七月十九日に久留米市長及びみやま市長からの出動要請を受け、排水ポンプ車二台を出動させました。今後も、排水ポンプ車を効果的に運用し、浸水被害の軽減に努めてまいります。 9 ◯議長(桐明 和久君) 吉田教育長。 *教育長答弁 10 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 公立小中学校におけるICT機器の活用状況についてでございます。今年度の全国学力・学習状況調査において、児童生徒に対し授業でのICT機器の活用頻度を問う質問項目について、本県では、ほぼ毎日を含む週三回以上が約半数となっております。ICT機器の活用機会は年々増加しておりまして、積極的な活用が進んでいるところでございます。  小中学校の通信環境の整備についてでございます。ICT機器を活用した教育活動を円滑に行うためには、安定的な通信速度の確保が必要となります。国のGIGAスクール構想において標準的な仕様として示されている通信速度は、一ギガbps程度とされております。設置者である市町村は、これを参考としながら、学校規模に応じて必要な整備を進めておるところでございます。  これからの学校教育で子供たちに育む力とICTに求める役割、効果についてでございます。予測困難な時代を見据え、学校教育では、子供たちに未知の状況にも対応できるよう、柔軟な思考力や創造性、様々な人々と協働して解決策を見いだす力、デジタル社会を生き抜く情報活用能力などを育成することが求められております。ICTを活用することによって学びのデータを蓄積し、一人一人の特性や習熟度に応じた学びを進めたり、インターネットを介して遠方の人と意見交換することで考えを広げたり、プログラミング教育により論理的思考や課題解決能力を培ったりすることなどの効果が期待できるところでございます。県教育委員会としましては、学校教育の目標を実現するために、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を図る有効なツールとして、ICTを積極的に活用してまいります。  ICT活用推進に向けた学校への支援体制への見解についてでございます。本県では学校におけるICT活用推進のために、本庁に新たな組織を設置し、県教育センターや教育事務所等との連携の下、市町村教育委員会や学校への指導、助言を行うとともに、教員のICT活用指導力を向上させるため複層的な研修を実施をしております。また、児童生徒、教員からの技術的な相談や、ネットワークの不具合等に対応できるICT支援員につきましては、国が四校に一人の配置を算定基礎とした地方財政措置を講じていることを踏まえ、全県立高校において国の基準に沿った配置を行いますとともに、市町村に対しては、地方財政措置を活用した配置を促しておるところでございます。県教育委員会としましては、今後とも、適切な支援体制を整備し、各学校においてICTの効果的な活用により、令和の時代にふさわしい学びの姿を実現できるよう取り組んでまいりたいと考えております。  一人一台端末の更新時期の対応についてでございます。学校で整備されている学習者用一人一台端末につきましては、その更新時期に大きな経費負担が生じるものと認識をいたしております。県教育委員会としましては、一人一台端末は、令和の時代の学校教育に欠かせないツールであると先ほど申し上げましたが、その認識の下、次代の学校教育に最適なICTツールや、その経費負担の在り方について研究をしてまいります。また、国に対して端末等の更新に係る財政支援の要望を継続的に行うとともに、市町村に対しても適宜、情報提供を行ってまいります。  次に、スクールソーシャルワーカーの重要性についてでございます。支援を要する子供たちには、家庭環境に起因する課題も多く、学校だけの対応ではその解決が困難であり、状況に応じた支援につなぐことが必要と考えます。スクールソーシャルワーカーは、福祉の専門家として、家庭や地域、市町村の福祉部局や児童相談所などの関係機関と連携し、子供を取り巻く環境の改善に向けて支援する役割を担っておりまして、必要な存在であると認識をいたしております。  そのスクールソーシャルワーカーの対応能力を高める取組についてでございます。県教育委員会では、スクールソーシャルワーカーが、子供が抱える課題に適切に対応できるよう、県内二つのブロックで連絡会議を年九回開催して事例研究を実施をするとともに、各教育事務所に配置しているスキルの高いスーパーバイザーが指導助言を行っております。また、スクールソーシャルワーカーを含めた専門スタッフの連携、協働についてのQ&Aを作成し、各学校での活用を促しているところでございます。今後とも、スクールソーシャルワーカーがチーム学校の一員として効果的に機能するように取り組んでまいります。  次に、小学校における水難事故防止に向けた水泳指導及び教員の指導力向上についてでございます。まず、水泳指導におきましては、児童一人一人が自分の命を守るため、水の危険性について理解するとともに、事故に遭遇したときの対処の仕方を身につけることが必要であると認識しております。具体的には、児童の発達段階に応じて、体力を温存して長く浮いたり、泳いだりすることや、着衣のまま水に落ちた場合の対応について体験的に学ばせることが重要であると考えております。こうした指導を適切に行うために、県教育委員会では、若年教員の研修会や体育研究所の研修において、浮き身や着衣水泳等に関する内容を取り入れております。今後も、これらの研修を通しまして教員の指導力向上を図り、子供たちの安全を守ってまいる所存でございます。 11 ◯議長(桐明 和久君) 岡部警察本部長。 *警察本部長答弁 12 ◯警察本部長(岡部 正勝君)登壇 まず、経済安全保障の推進のための県警察の認識及び取組についてお答えを申し上げます。本県には、先端技術を保有する企業や大学、研究機関が多数所在しており、これらが保有する技術が国外に流出した場合、企業等の国際競争力が低下するだけでなく、我が国の安全保障にも重大な影響を生じかねません。県警察といたしましては、こうした点から、経済安全保障を推進する上で先端技術の流出防止対策は極めて重要な課題であると認識しております。そのため県警察におきましては、産業スパイ事案や不正輸出事案、サイバー攻撃事案等に関する実態解明と取締りなどを行っております。これに加え、企業等における技術の流出防止対策を支援するため、具体的な手口やその対策などを情報提供する活動、いわゆるアウトリーチ活動を推進しているところであります。  次に、本県における特徴についてお答えいたします。本県では、パワー半導体や画像センサーなどにおいて世界トップレベルのシェアを誇る企業をはじめ約四百社の半導体関連企業が集積しております。そのため、特に半導体、デジタル産業分野における対策の必要性は極めて高いものと考えております。  最後に、経済安全保障対策に関する決意についてお答えを申し上げます。企業等が保有する様々な先端技術について実効性のある流出防止対策を講じるためには、企業等をはじめとする関係機関との連携が不可欠だと考えております。そのため、県警察におきましては、本年三月、経済安全保障対策に専従する係を警備部外事課に新設しており、引き続き、アウトリーチ活動などを通じた関係機関等との緊密な連携の下、企業等が保有する先端技術の流出防止に向けた取組を強力に推進してまいりたいと考えております。 13 ◯議長(桐明 和久君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後二時といたします。           午 後 零 時 五十二分  休 憩           午 後 二 時  一 分  再 開 14 ◯副議長(井上 博隆君) 再開いたします。  休憩前に引き続き代表質問を行います。発言を許可いたします。壹岐和郎君。(拍手) *壹岐議員質問 15 ◯六十七番(壹岐 和郎君)登壇 公明党の壹岐和郎でございます。会派を代表し質問をいたします。  初めに、新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いします。私たちは、ウイズコロナの社会を築くためには、重症化を防ぐために積極的にワクチンを接種し、どの医療機関でも経口薬が利用できる体制を整えることが必要と考えています。この三年間、本県も新型コロナウイルス対策として、県民の命を守る観点から、マスク、手洗い、三密を避ける等基本的な防御も定着し、重症化予防のためのワクチン接種も四回目を数えるに至りました。  さて、厚労省は、新型コロナウイルスのオミクロン株に対応した新たなワクチンが十月中旬としていましたが、九月に前倒しで接種を開始する予定です。秋冬の感染拡大を見据え、社会全体の免疫力の向上につながることを期待します。対象は二回目までの接種を終えた全世代を想定し、費用は公費で負担するとお聞きしています。この新たなワクチンは、従来株とオミクロン株の派生型であるBA・1の成分を組み合わせた二価ワクチンと呼ばれるもので、オミクロン株に対応した成分が含まれるため、従来ワクチンを上回る重症化予防効果や、短期間の可能性はあるものの、感染予防効果や発症予防効果も期待されています。また、接種対象者については、現行の六十歳以上の方や医療従事者等で四回目未接種の方から開始され、その方々への接種の完了が見込まれた自治体においては、接種が順次拡大される方針が示されています。  このような中、現在、高齢者等への四回目接種が実施される一方、若年層への三回目接種が伸び悩んでいると聞いています。  そこで伺います。本県における十二歳以上の十代から三十代までの若年層の三回目接種と六十歳以上の方の四回目接種について、接種状況をお答えください。  また、新たなワクチンにおいても、重症化予防等の観点から接種を促進することが重要です。接種促進のために、今後どのように取り組むのかお答えください。  次に、新型コロナウイルスの経口治療薬についてもお聞きします。今回、第七波については、政府も福岡県も行動制限をかけませんでした。観光地やお盆の帰省などで人流が多くなり、感染拡大は過去最大となりました。その結果、家族感染が多発し、医療従事者も家族から感染するなど、医療機関や保健所、保育所等社会全体に広がる結果となりました。経口治療薬が整っていれば、全ての医療機関でインフルエンザと同様な体制が取れていただろうと考えます。  厚労省の第二部会で経口治療薬の早期承認の審査が六月、七月となされましたが、早期承認はなりませんでした。理由は、オミクロンの四症状には効果があるものの、オミクロン株の流行期にもかかわらず、デルタ株の十二症状に対して効果が確認できなかったためであり、現状に合わせた判断がなされず、早期承認は見送られました。私たちは、現状のオミクロン株での効果で判断し、早期承認すべきであると考えます。  ウイズコロナを目指すのであれば、経口治療薬は必須であると思いますが、知事の経口治療薬に対する期待などをお聞かせください。  次に、本県のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進についてお尋ねします。公明党福岡県議団では、福岡県のデジタルトランスフォーメーション(以下、DXといいます)を進める上での課題と今後の施策の方針を得るために、二〇二二年七月十一日から十三日にかけ、福岡県に居住する十六歳から六十九歳の男女五千三百九十八人を対象にインターネット調査を実施しました。  まず、ふだん利用しているインターネットサービスを聞いたところ、全体ではLINEが八一・五%と最も高く、続いてユーチューブ、ニュースサイト、ホームページ、スマホ決済システム、オンラインモール、電子メール、インスタグラム、ツイッター、動画配信サービス、フェイスブックの順となっています。インスタグラムでは、女性十六から二十九歳で七六・三%、三十代で六二・六%、ツイッターは、十六から二十九歳で男性六二・六%、女性七〇・三%と、いずれも全体の倍になっています。逆に、男女とも六十歳代では極端に低くなっています。このことから、ユーチューブ、インスタグラム、ツイッターなどのSNSは、若者への訴求媒体としては有効ですが、高齢者には不向きであることがよく分かります。今後、県広報等がますますデジタルへシフトしていく中で、訴求対象によるメディアの使い分けが必要です。  また、一般の人のSNSやユーチューブで全体が二〇・七%であるのに対し、公務員全体が一〇・〇%、県職員では僅か四・六%、女性で十六歳から二十九歳の四六・二%の十分の一にもすぎません。これは、若い女性と県職員は全く違う世の中を見ているとも言える状況を示しています。  行政のデジタル化に対する考えを聞いたところ、要約すると、いつでも、効率的に、スピーディーに、簡単に、しかも安心できるとなり、これは多くの民間のサービスに求められる要件であると同時に、従前から行政が不得手とされてきた事柄です。これを機に、県行政の組織風土改革が必要です。県職員で行政の効率化につながるとの回答が七五・九%と全体を二〇ポイントも上回り、スピードアップの項も高くなっています。一般的に、組織風土改革に対して当事者は冷淡ですが、県職員は大変前向きです。これに応える知事や県幹部のリーダーシップに期待したいと思います。  DX推進の課題では、DX人材の不足が四五・一%と最も高くなっています。最近、総務省から公表された二〇二二年版情報通信白書でも、国内企業千二百九十六社を対象としたアンケートで、DXを推進する上での課題、障壁を尋ねた結果、人材不足が六七・六%と最も多く、次いでデジタル技術の知識・リテラシー不足四四・八%となっており、米国、ドイツと比べても人材面での課題が多いことを指摘しています。DX人材の不足、資金が不足を一番多く挙げた業種は、両方とも公務員全体です。また、役所の職員のデジタルに対する知識が不足している、偏っているでは、公務員が全体の二・五から三倍と際立って高く、さらに行政手続が煩雑で遅いことと、様々な規制や国、自治体が定めた制度や方針でも公務員のスコアは高くなっております。  つまり、公務員は、役所でのDX推進に前向きで、民間よりも課題を強く感じていることが分かります。課題を要約すると、人材不足、予算不足、知識不足、手続の煩雑さや遅さ、規制や制度と言えます。今後、本県がDX推進を図る場合、県職員は経験則や思い込みを排除し、若者の現状認識や意識をデータ等で客観的に把握するよう努めるべきと考えます。DXとは、価値創出のための組織全体の事業やビジネスモデルの変革であるのですから、DXを県行政組織改革の意識を持って、全庁挙げて推進するべきと考えます。知事の見解を伺います。  次に、勤務先でのデジタル化の進捗状況を聞いたところ、全体では出退勤記録が三六・七%で最も高く、次いで経費や交通費の清算、報告書、稟議書、予算書などの決裁文書作成と閲覧、回覧、承認など、各種マニュアル等となっています。デジタル化されているものはないと答えた人は全体で一四・一%。業種別でスコアが高くデジタル化が進んでいない業種は、不動産、物品賃貸業が二三・七%で最も高く、次いで教育、学習支援業、生活関連サービス業、娯楽業、建設業、鉱業となっています。従業員数別では、規模が大きいほどデジタル化が進んでおり、デジタル化されているものはないは、千人以上の職場では二・五%と、十九人未満の十分の一以下です。この傾向は、経営情報の戦略的な事項において特に顕著で、現状でも大企業がデジタル領域において大きくリードしていることが分かります。  また、DX推進の必要性を尋ねたところ、県職員は六〇・九%で、全体よりも約一八ポイント高くなっています。業種別では、金融、保険業が六八・九%で最も高く、次いで電気、ガス、情報通信等が高くなっています。逆に、飲食サービス業、運輸、郵便業、医療、福祉、不動産、物品賃貸業等が低くなっていて、デジタル化が進んでいる業種でのさらなるDX推進のニーズが高く、逆に進捗が遅れている業種ではニーズも低くなっています。これらの業種の中には、飲食サービス業に代表されるコロナで大きな打撃を受けた業種も含まれており、コロナからの立ち直りも道半ばで、デジタル化の波にも乗り遅れている実態が現れています。これらの業種に対しては、例えばコロナ対策として行われてきたEコマースを軸に、業態全般のデジタル化を図る等のアフターコロナを見据えた早急なDX支援が望まれます。  地域経済全体を効果的に押し上げるために、現状でも顕著である業種、規模による企業間のデジタル格差を的確に把握し、脆弱な層へ支援を強化するなど、適切なバランスでのDX推進の支援を行うことが重要となります。DXの推進は、地域経済の活力や社会生活を豊かにする上からも必要です。一方、様々な場面での格差の拡大が懸念されます。このような現状を踏まえ、取り残される人が出ないよう、今後どのように優先順位をつけながら、地域経済全体のDXの実現に向け、事業者のDXをどのように推進していくのか、知事の見解を求めます。  次に、行政のデジタル化で期待する成果を聞いたところ、行政業務のスピードアップが五一・七%と最も高く、期待することは何もないは僅か四・四%にすぎず、県民は行政のデジタル化での成果に期待しています。  福岡県DX戦略にはKPIが記載されていますが、一般的にKPIは、目標達成のための進捗管理指針であり、政策目標であるKGIが数値目標として設定されていることが前提となります。しかしながら、本書には、例えば県民からの期待が最も高い行政業務のスピードアップに関しては、デジタル基盤の強化や行政事務のデジタル化を強力に推進することで、行政サービスのさらなる向上を図りますとあり、申請手続のオンライン化の数値目標はありますが、行政手続時間の何パーセント短縮等の数値目標は設定されていません。県行政のデジタル化においては、オンライン化の数などの手段ではなく、県民が実際に享受するサービス向上の数値的な目標を示し、高い期待に応えるべきであると考えます。  また、デジタル化を推進する際に、オンライン化、電子決済、テレビ会議、グループウエア、AIなどハードやシステム名が躍り、それらの導入が目的であるかのような自己目的化に陥ることは民間でも多々見られることです。しかしながら、県民が望んでいるのは成果であり、それは迅速化、簡略化、予算、人員の削減、見える化です。現代の生活者は、デジタルに関しては一定の知見を有しており、それが何を恩恵としてもたらすものかを、例えばネットショッピング等で実感をしています。県がデジタル化をうたう限り、県民は目に見える成果を期待しています。知事の見解を求めます。  次に、地方自治体が地域経済のDX推進を行う場合に期待する成果を聞いたところ、地域内企業の生産性の向上が三一・九%で最も高く、次いで中小零細企業の支援二五・二%となっています。現在、CMなどで人材募集、経理など様々なDX商品が紹介されていますが、デジタルに関する人材や知見に乏しい中小零細企業が安易にこれを導入した場合、期待した効果が得られないだけではなく、情報安全対策等の問題を抱えるおそれがあります。このような問題が発生しないよう、行政としては、専門機関による研修等や適切な情報の提供を行うことが必要であると思われます。知事の見解を求めます。  次に、教育長にお尋ねします。GIGAスクール構想については、全体で認知、支持ともに半数に達しておらず、子供を持つ人でも、いずれも全体を若干上回っている程度で特に高くありません。GIGAスクール構想を進める上でも、保護者への周知と理解を図るべきと考えます。同構想の課題、問題点を聞いたところ、教師のITに関する知識や使いこなす技能に不安があるが三七・四%で最も高い。保護者への理解が進んでいないことも大きな理由とも考えますが、学校現場の実態を反映しているとも思われます。教員のITに関する知識、技能の向上は急務と思われます。学校で何らかの取組を行う際には、その知識、技能を率先して習得し、指導の先頭に立つのは教員です。ここに県民が不安を感じることに、現在の教員が置かれている問題点が集約されているように感じます。福岡県DX戦略でもうたっているように、学校現場のデジタル化によって、校務の効率化を図り、教員が余裕を持って自己研さんを行えるよう、教員のICT化活用力を向上させる環境をつくるべきです。教育長の見解を求めます。  最後に、福岡県DX戦略では、教育分野においても行政のデジタル化と同様に、ハードやシステムの構築を自己目的化している傾向が見られます。教育現場でのデジタル化において優先されるべきは、デジタル化による教員の負担軽減と教育者としての力量の向上です。そして、それが子供のITスキルや学力の向上という成果をもたらすことになります。これは、当調査においても、期待する成果として最優先に掲げられており、子供を持つ人、教育学習支援従業者、そして県職員をはじめとする県内の公務員もより強く望んでいる事柄です。よって、教育のICT化推進においては、この子供のITスキルの向上、子供の学力向上、教員の質の向上を明快に最優先の目標として掲げ、成果を出すべきと考えます。教育長の見解を求めます。  デジタル化は打ち出の小づちではなく、その課題は現代社会の諸課題の多くと一致します。市場原理に任せ放置すれば、格差は拡大し、断絶を深めることになります。また、県民は、行政と教育のデジタル化による恩恵を期待しており、実質的な成果を求めています。半導体とソフトウエアによる箱物行政に陥ることが決してないよう、県職員の自覚と、知事や教育長のリーダーシップを期待し、この項の質問を終わります。  次に、旦過市場を中心とする同地区火災の教訓について知事にお尋ねします。北九州市の旦過地区は、四月に続き八月、大規模な火災に襲われました。八月火災の被害は、四十五店舗、焼損面積延べ三千三百二十四平方メートルに及び、四月の被害をいずれも上回りました。八月の火災の火元と見られるのは営業中の飲食店。旦過地区では、四月の大規模な火災を受けて飲食店が営業を休止、北九州市消防局は、立入検査や防火指導のために、営業再開時には連絡をするようにお願いをしていましたが、火元と見られる地区からの連絡はなかったということです。このことを受け同市は、消防指導の在り方を考え直す必要があるとしています。  そこで、県としては、四月、八月の火災を受けてどのような防災上の対策を講じたのか伺います。旦過地区において、四月の大規模な火災の教訓が生かされなかった要因はどこにあったと考えるのか、消防指導の在り方という側面も含めて知事にお伺いします。  消防庁は、平成二十八年十二月の新潟県糸魚川市大規模火災を踏まえ、各消防本部において、木造の建築物が多い地域などの大規模な火災につながる危険性が高い地域を確認し、指定するとともに、道路幅員や建築物の状況も踏まえて、消防ポンプ自動車の必要台数、使用する消防水利、車両の部署位置等を定める火災防御計画をあらかじめ策定しておくよう通知しました。  そこで、旦過地区と同様に、大規模火災につながる危険性が高い指定地域は県内にどれくらいあるのか。また、それら地域での火災防御計画の策定状況についてお聞きします。  また、糸魚川大火災を契機に消防法施行令が改正され、令和元年十月から、原則としてこんろなど火を使う全ての飲食店に消火器具の設置が義務づけられ、事業者は定期的に点検を実施し、その結果を消防本部へ報告することとされています。県内飲食店における消火器具を含めた消防設備の点検状況について調べたところ、一昨年度は三三・四%と大変低い状況です。こうした状況を踏まえ、県としてどのように対応していくのか、知事の考えをお聞かせください。  旦過地区のこのような不幸な大規模火災を起こさないため、今後、県としてどのような施策をもって対処していくのか、知事の決意を含めてお答えください。  次に、不妊治療を受けやすい環境づくりについてお尋ねをします。令和四年三月、厚生労働省は、不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアルを作成し、初めにでは、不妊治療を受けながら働き続けられる環境づくりが広がっている中で、こうした取組が企業や働く人にとって大きなメリットがあり、逆に両立できない職場では、労働力の減少、ノウハウや人的ネットワーク等の消失、新たな人材を採用する労力や費用の増加などのデメリットをもたらすと指摘しています。令和四年四月からは、不妊治療と仕事との両立に取り組む優良な企業に対する新たな認定制度が創設され、次世代法に基づくくるみん認定等にプラスされます。さらに、不妊治療のために利用できる休暇制度や両立支援制度の導入や利用促進に取り組む中小企業事業主に対しては、令和三年度より助成金が支給される取組など、国も積極的に推進をしています。新型コロナウイルス感染症への企業の対応の中で、テレワークとフレックスタイム制や短時間労働勤務制度との組合せにより、治療との両立を図る柔軟な働き方も見受けられるとしています。  本年四月より本格的な不妊治療の保険適用が開始されています。不妊治療を受ける夫婦や生殖補助医療による出生児の割合も増加しています。しかしながら、国の調査では、不妊治療の実態については、ほとんど知らない、全く知らないとする労働者が八割近く存在し、企業の六七%は、不妊治療を行っている社員を把握していません。治療と両立している人は五三%、そして三五%の人は仕事もしくは治療を諦め、正規雇用から非正規雇用等雇用形態を変えるなどしています。仕事との両立ができなかった理由を見ると、一つ、精神面での負担の大きさ、二つ、通院回数が多いこと、三つ、体調、体力面での負担が大きいこと、この三点が上位に挙げられています。今年四月より不妊治療が保険適用となったことにより、本県としても両立への環境整備を加速しなければならないと考えます。  そこで知事に質問します。初めに、県職員の皆さんは不妊治療を受けやすい体制となっていると思いますか。受けやすい環境とする休暇制度や運用の見直しはなされたのかお聞きします。  次に、国の調査によると、不妊の心配をしたことのある夫婦は二・九組に一組、不妊の検査や治療については五・五組に一組となっているにもかかわらず、社会の関心や認識は低いと言わざるを得ません。また、不妊治療はできるだけ若いときに治療を始めたほうが効果は高いのですが、会社に入社して間もない時期に安心して治療を始めるには、現状の環境を考えるとハードルは高いと考えます。県が持つ様々なネットワークを活用し、県民への理解促進、企業経営者の意識改革、企業の柔軟な働き方推進に取り組むべきと考えます。不妊治療を受けやすい環境づくりは、働きやすい環境整備、ひいては全ての人が希望を持って暮らせる社会につながるものと確信をします。本県の不妊治療を受けやすい環境整備を積極的に推進すべきと考えますが、知事の見解をお伺いします。  次に、全国に広がりつつある男性用トイレへのサニタリーボックス設置についてお尋ねをします。設置が進んでいる理由は、近年、前立腺がんや膀胱がんなどの増加、高齢化の進展により、男性が尿漏れパッドを使用することが増えているにもかかわらず、男性用の個室トイレにはほとんど未設置で、使用済みのものの捨て場所に苦労している男性が多くなっている現状が明らかとなってきたからです。先日、店の主人が前立腺がんを治療して退院した三日後に、私はたまたま立ち寄った際、トイレの話が話題となりました。本県でも同様な状況と思います。捨てるボックスがなければ、ビニール袋などに入れて持ち帰らなければならず、それが原因で外出をためらう人もおられるようです。また、最近ではスポーツを楽しむ中高年齢者もパッドなどを着用することも多いと聞きます。一般社団法人日本トイレ協会が本年二月にインターネット調査をしたところ、尿漏れパッドやおむつを使う男性の七割近くが、男性トイレにサニタリーボックスがなくて困った経験があると回答をしています。  そこで知事に質問をします。本県県有施設の男性用個室トイレのサニタリーボックスの設置状況をお伺いすると同時に、早急に設置すべきと考えますが、いかがでしょうか。  また、市町村や民間事業者にも積極的な取組を働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  次に、発達障がい者等に対する就労支援についてお尋ねをします。本県では、障がい者に対する就労支援として、中小企業障がい者雇用拡大事業を、今まで企業の障がい者雇用率アップという視点から取り組んできましたが、令和三年度から令和二年度政策事前評価書の事業の狙い・目的によれば、企業、求職障がい者双方への支援と相互理解の促進と、両者の適切なマッチングによる雇用を実現するとともに、就職後の定着までを支援し、以後の安定的な就業支援につなげることにより、県内企業における障がいのある人の就業機会の拡大を図るとあります。  関西大学の白石真澄教授によれば、大学にも発達障がいの学生がいる。ネーティブ並みに英語を操る秀でた能力もある一方、他人との意思疎通が不得手で、行動、興味に偏りがあり、読み書き計算など特定のことを行うのが苦手な人たちもいる。授業で先生が話す内容をノートに取れないといった相談も時々ある。しかし、専門医からは診断が下らない。いわゆるグレーゾーンの学生もいる。自分の考えを言語化できないため、就職の第一関門であるエントリーシートが書けず、適性検査で落ち続ける。適性検査は、数的処理や空間認識を試す試験ですが、大学入試では数学を必ずしも必要とせず、就活時期になって初めて発達障がいに気づく。若者サポートステーションや新卒応援ハローワークに相談するが、面接などの指導はあるものの、仕事の種類や給与面で新卒者のレベルに届かない。ミスマッチも多いと現状を訴え、グレーゾーンの方への公的就職支援強化の必要性を指摘されています。  また、著名な精神科医岡田尊司氏は、多くのケースと向き合った経験から、グレーゾーンの人は、障がいレベルの人と比べて生きづらさが弱まるどころか、時により深刻な困難を抱えやすい。障がいレベルでないため特別な配慮や支援もなく、健常者と対等に競わされる立場に置かれやすい。同時に、グレーゾーンで大事なのは、診断よりも特性への理解であるとも述べられています。同氏によれば、知的障がいの人を例に取ると、知的障がいと診断されるIQ七〇未満は二・二%、知的障がいのグレーゾーンとされるIQ七〇以上八五未満の人の割合は十数%近くになり、知的障がいと想定される人の何倍もの人がグレーゾーンに該当するとのことです。  そこで知事に質問をいたします。初めに、埼玉県では、発達障がい者、特にグレーゾーンを対象に、二〇一四年、発達障害者就労支援センターを立ち上げ、当初二か所から四か所に拡大し取り組んでいます。担当者にお聞きすると、立ち上げ当初はなかなか浸透せず、他の支援機関との連携も難しかったようですが、最近では、相談者のほとんどが手帳を持たない二十代、三十代が八〇%とのことで、大学や地域若者サポートステーションからの相談も増え、他の支援機関ではすくい取れなかった人を支援に結びつけられているという、実感と自負も大きくなったとのことです。昨年度の実績は、相談件数四百四十八件、就職実績百人とのことです。一つの参考となる取組と高く評価できると思います。  私は、まず本県では、地域若者サポートステーションの機能充実が重要と考えます。いわゆるグレーゾーンの皆さんが希望する就職ができるよう、まずは相談者へ的確なアドバイスができる相談体制の充実強化、ハローワークなどの職業紹介先や地元企業との連携強化を図ることが重要と考えます。グレーゾーンの皆さんもより相談しやすくなるよう、広報も工夫が必要と思います。以上の点について、知事の見解をお示しください。  二番目に、厚生労働省の全国在宅障害児・者等実態調査によると、医師から発達障がいと診断された方のうち、障害者手帳をお持ちでない方は二一・四%。一方、本県の障がい者雇用拡大事業の新規登録者の中で、発達障がい者数は百九十六名。そのうち障害者手帳をお持ちでない方は九名と、四・六%にしかすぎません。本事業のリーフレットを見ますと、対象者は、障がい者で手帳の有無を問わないとあります。そうであれば、もっと障害者手帳をお持ちでない方やグレーゾーンの方にも情報が届くような広報をすべきだと考えますが、いかがでしょうか。  また、この事業では手帳のない障がい者への支援が不足しているのであれば、本事業の機能強化を図るべきと考えます。知事の見解をお伺いします。  次に、障害者手帳アプリ、ミライロIDの活用推進についてお尋ねします。このミライロIDは、スマートフォン用のアプリで、障害者手帳の情報をアプリ内に登録すると、手帳情報がスマートフォンの画面に表示できるようになります。この画面を提示することで、公共施設や交通機関の利用の際、利用料金等の減免を受けることができます。紙の手帳を持ち歩くことなく、手帳を提示する心理的な負担も少なくなります。特に、複数の手帳を持っている方には利便性は大きく向上するものと思います。現在では、全国の公共施設や公共交通機関等において普及が進んでいます。本県でも、障がいのある方の施設利用のより一層の利便性の向上を図るため、県の施設で利用料金等の減免を受ける際に、障害者手帳の提示に代えて障害者手帳アプリ、ミライロIDを利用できるよう推進すべきと考えます。このアプリは、障害者手帳の情報を読み込むことで、窓口での確認がスマホ一つで手軽となるほか、例えば車椅子のサイズなどを登録し、窓口での伝達をスムーズにします。  知事にお尋ねをします。現在、利用可能な県有施設の状況をお伺いするとともに、障がい者の利便性向上のため、全ての県有施設で利用ができるようにすると同時に、県内市町村でも利用が広がるよう推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。
     次に、災害時要配慮者の避難と福祉避難所についてお尋ねをします。東日本大震災では、亡くなった人の六割以上が六十歳以上でした。また、東日本大震災で十人以上が亡くなった東北三県の沿岸部自治体でのNHKの調査によると、障がい者の死亡率は住民全体の二倍。避難のときに、助けが必要な在宅の障がい者や寝たきりの高齢者などが逃げ遅れたと考えられています。また、聴覚障がい者については、防災無線が聞こえず逃げ遅れたことが被害を大きくした理由の一つと指摘をされています。当時の報道では、障がい者にとって、避難所は避難する場所ではなかったとの声も伝えられています。そこで重要なのが福祉避難所の整備です。しかしながら、一般の避難所を経由しなければ、福祉避難所へ到達することが事実上できなかったのが現状です。この実態は、今も大きくは変わっていないのではないかと思います。  このような状況に鑑み、国は、二〇二一年五月、令和元年台風第十九号等を踏まえた高齢者等の避難の在り方についてとして取りまとめ、福祉避難所の在り方を見直し、福祉避難所の確保・運営ガイドラインの改定を実施しました。課題、背景として、イ、障がいのある人等については、福祉避難所ではない避難所で過ごすことに困難を伴うことがあるため、一般避難所への避難が難しい場合があり、平素から利用している施設へ直接に避難したいとの声がある。ロ、指定避難所として公表されると、受入れを想定していない被災者の避難により、福祉避難所としての対応に支障を生ずる懸念があるため、指定避難所としての福祉避難所の確保が進んでいない等があります。  改定の趣旨は、指定福祉避難所の指定を促進するとともに、事前に受入れ対象者を調整して、人的、物的体制の整備を図ることで、災害時の直接の避難等を促進し、要配慮者の支援を強化することであるとあります。  主な改定内容は、指定避難所については、指定福祉避難所を指定一般避難所と分けて指定し、公示をする。指定福祉避難所の受入れ対象者を特定し、特定された要配慮者やその家族のみが避難する施設であることを指定の際に公示できる制度を創設する。次に、指定福祉避難所へ直接の避難を促進する。地区防災計画や個別避難計画等の作成プロセス等を通して、要配慮者の意向や地域の実情を踏まえつつ、事前に指定福祉避難所ごとに受入れ対象者の調整等を行うとともに、要配慮者が日頃から利用している施設へ直接の避難を促進する。次に、避難所の感染症、熱中症、衛生環境対策として、保健、医療関係者の助言を得つつ、避難所の計画、検討を行う。マスク、消毒液、体温計、段ボールベッド、パーティション等の衛生環境対策として必要な物資の備蓄を図る。一般避難所においても、要配慮者スペースの確保等必要な支援を行う。次に、緊急防災・減災事業債等を活用した指定福祉避難所の機能強化を図るとあります。  以上、お示しした国のガイドラインの改定を念頭に、以下、知事に質問をします。初めに、今回の重要な改正点である福祉避難所への直接避難の体制整備についての知事の認識、並びに市町村の直接避難の体制整備は進んでいるのかお伺いをします。  また、指定福祉避難所は、要配慮者の円滑な避難につながるよう、公示が義務となりました。市町村の公示状況をお示しください。  次に、埼玉県では、高齢者、障がい者などの要配慮者が災害時に安心、安全に避難できる体制を確保するため、災害時要配慮者避難体制サポート事業に取り組んでいます。これは、都市部、郊外、山間部などに応じて想定される被害を考慮し、モデル市町村を四つ選定し、防災の専門家による支援を受け、福祉避難所への直接避難計画を作成することとしています。この結果は、報告書や動画マニュアルを作成し、県内市町村へ普及、拡大を図るとしています。本県でも、福祉避難所への直接避難体制を早急に整備するために具体的な対策を講じると同時に、市町村への支援や連携を強化すべきと考えますが、いかがでしょうか。  次に、本県では、透析医療を受けている医療機関が治療不能となった場合、登録した方へ代替医療機関を知らせ、再開したときにもその情報を知らせる透析メールという仕組みがあります。同様の仕組みを災害時要配慮者向けにつくることができれば、要配慮者の早期避難につながり、安心して指定福祉避難所に直接避難することができます。市町村との協働になろうかと思いますが、個別避難計画策定を推進する上からも役立つものと考えます。知事の見解をお伺いします。  次に、県内の福祉避難所は十分確保されていますか。福祉避難所は、一般避難所とは違う資機材や人材の確保が必要です。一義的には市町村が確保する必要がありますが、特に小規模な自治体では確保が難しい場合もあると思います。県は、どのように市町村を支援していくのかお示しをください。  また、コロナ禍の中、様々な空間清浄機などが開発されています。避難所での感染拡大を防止するため、今後準備すべき資機材の中に用意することも検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。  次に、この項の最後に、県立特別支援学校も積極的に福祉避難所として活用すべきと考えますが、いかがでしょうか。  次に、中小企業支援についてお尋ねをします。今年上半期の全国の企業倒産件数の調査結果は、前年同期と比べ増加傾向にあり、徐々に中堅企業にも広がりつつあると警戒をしています。その理由の一つに後継者難が挙げられており、本県においても、後継者難による倒産はコロナ前に比べ増加傾向にあります。こうした動向を踏まえ、今後の円滑な事業承継の推進に向け、改めてもう一段ギアを入れてはいかがでしょうか、知事の所見をお伺いします。  中小企業や小規模事業者の経営が改善されない限り、賃上げの原資が生まれず、経済の回復も進みません。現在、コロナ禍における中小企業向け融資制度の元金返済が始まり、運転資金の確保が大きな課題となっております。コロナ禍が長期化し、景気も上向いていない状況の中、特に借入れのある企業は厳しい状況です。  そこで質問です。月々の返済の減額などによる実質的な返済期間の延長や、本業立て直しのため、人手不足対策のための生産性向上や設備投資も急務です。知事の見解をお伺いします。  この項の最後に、事業再構築補助金について伺います。事業再構築補助金は、全八回の予定のうち、第七回の公募が九月三十日で締め切られます。注目されるのは、補助金額、補助率ともに高い原油価格・物価高騰等緊急対策枠の新設です。事業者が変更点を正確に把握し、活用ができるよう周知をしてはいかがでしょうか。また、事業再構築補助金をより効果的に利用することにより、より多くの中小企業者を支援につなげることが重要です。知事の見解をお伺いします。  最後に、偽電話詐欺対策についてお尋ねをします。偽電話対策については、本年二月定例会で警察本部長に今後の対策をお聞きしたところですが、収まるどころかますます増加をしています。偽電話詐欺は暴力団の資金源と言われ、被害者の八割が六十五歳以上の高齢者であるという卑劣な犯罪であります。本県における偽電話詐欺の被害は、昨年以降、認知件数、被害額ともに大幅に増加しており、本年七月末時点において、認知件数百五十九件、前年同期比プラス十六件、被害総額四億四千百三十六万円、前年同期比プラス二億九百三十六万円と厳しい状況にあります。  二月議会で警察本部長は、偽電話対策として最も効果を発揮するまっ太フォンの貸出しについてお聞きしました。その際、警察本部長は、県内の自治体に対して国の交付金活用を働きかけることにより、自治体の貸出し事業がさらに広まり、できる限り多くの高齢者にまっ太フォンを普及するよう、県や高齢者関係機関と連携をした各種対策を推進していきますと答弁をされました。その後の進捗状況をお伺いします。  次に、我が会派は、偽電話の被害は暴力団の資金源という観点から、偽電話詐欺に対する警察本部としての姿勢を問うたところ、警察本部長は、平成二十七年四月一日付で、警察本部長を長とする特殊詐欺総合対策委員会を設置し、その実動部隊として刑事部統括参事官を特殊詐欺対策統括官とする特殊詐欺総合対策プロジェクトチームを発足するなど、組織全体で対策に当たっていると答弁をされましたが、その後の摘発状況をお示しください。  最後に、新しく就任された岡部警察本部長の偽電話詐欺対策に対する決意をお聞かせください。  以上で公明党の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 16 ◯副議長(井上 博隆君) 服部知事。 *知事答弁 17 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  まず、新型コロナのワクチンの接種状況でございます。若年層の三回目の接種につきましては、九月十四日時点で、十二歳から十九歳までの接種率が対象者である二回接種した方の四八・九%となっており、約十三万人の方が接種を受けられております。同様に二十代が五八・七%で約二十四万人の方、三十代が六四・八%で約三十万人の方が接種を受けておられます。六十歳以上の高齢者の四回目接種率は、九月十四日時点で、対象者である三回接種した方の七一・三%で、約百九万人の方が接種を受けられております。  ワクチン接種促進における今後の取組でございます。感染による重症化から自分自身を守るためにも、ワクチン接種の促進は重要でございまして、来週からは、オミクロン株に対応した新たなワクチンが県内の市町村へ供給される見込みでございます。このワクチンは、従来型を上回る重症化予防効果に加え、感染予防効果や発症予防効果も期待できるとされております。新たなワクチンは、四回目接種の対象者で未接種の方から接種が開始され、接種完了のめどが立ち次第、順次三回目接種を受けていない方などへ拡大してまいりますが、その時期は市町村ごとに異なってくることになります。また、一、二回目接種の方は、これまでどおり従来型ワクチンを接種していただくことになります。このため県といたしましては、接種に関して住民の方々が混乱することのないよう、市町村と連携し、丁寧な周知を図りますとともに、新たなワクチン及び従来型ワクチンの接種体制の確保に努めてまいります。併せて、新たなワクチンは全員が直ちに接種することはできませんため、重症化予防の観点から、従来型ワクチンも含めた早期の接種を検討していただくよう、県ホームページ等により県民の皆様へ周知することで引き続き接種の促進を図ってまいります。  経口治療薬に対する所見についてお尋ねがございました。現在、経口治療薬は、海外メーカーの二つの製品がございますが、いずれも高齢者など重症化リスクの高い方に投与が限定されております。コロナの感染状況が続く中で、県民の皆様が安心して暮らし、社会経済活動を維持していくためには、年齢を問わず全ての患者に有効な治療薬が必要であると考えます。また、国内メーカーの治療薬開発による安定的な供給体制の確立を待ち望んでいるところでございます。全国知事会におきましても、国産治療薬の重点的な開発支援や承認手続の迅速化を図ることなどを国に提言しておりまして、一日も早い開発、承認を期待しているところでございます。  次に、県行政におけるDXの推進についてでございます。県では、今年三月に策定いたしました福岡県DX戦略におきまして、県民サービスの向上を目的として、単なるデジタル化にとどまらない、業務そのものや組織、風土の変革やデータに基づく政策立案に取り組むことといたしております。例えば、押印の義務づけ廃止によるオンライン申請の対象拡大、県の手数料等に係る根拠規定の見直しによるキャッシュレス化の検討など、県民の皆様の負担軽減や利便性向上につながる取組を進めているところでございます。また、前例踏襲に陥ったり、勘や経験に頼ることなく、客観的なデータや根拠に基づく政策立案、いわゆるEBPMへと大きく変えていかなければなりません。このため、EBPMの研修を大幅に強化いたしますとともに、企画・地域振興部と各部局の連携の下、県が保有いたしておりますデータやオープンデータを積極的に活用し、専門家の皆様の知見も取り入れながら、具体的な政策、施策を立案していく取組を始めているところでございます。DX戦略に基づくこれらの取組が実効性あるものとなりますよう、全庁を挙げて推進してまいります。  事業者におけるDXの推進についてでございます。DXに取り組んでおります中小事業者は、国の調査によりますと、全体の一割弱にとどまっております。また、県に寄せられました相談によりますと、経営者の理解不足、具体的な活用方法が分からない、コスト、人材不足などがその理由となっており、DXに向けた支援が必要となっております。また、業種といたしましては、人材の確保、定着が課題となっております農林水産業や建設業、介護、福祉事業といった労働者の負担軽減や業務効率化等を図るために、DXの推進が必要な分野もございます。これを受け、県では、経営者や生産部門の責任者、現場技術者など階層別のデジタル化研修や、福岡県よろず支援拠点等による相談支援、生産性向上に取り組む企業の設備導入や介護事業所のICT導入等に対する経費助成など様々な取組を行ってまいりました。今年度は、新たに中小企業生産性向上センターに新設いたしましたデジタル支援ユニットによるDX化に向けた企業診断や支援計画の作成、九州DX推進コンソーシアムにおける人材育成のためのセミナーや研修の開催、建設業関連のドローン技術者育成事業の実施、農業DXやマーケティングなどを習得するリカレント教育による担い手育成などを行っております。今後もこれらの取組により、事業者におけるDXの推進を図ってまいります。  県行政のデジタル化の成果についてお尋ねがございました。県のDX戦略では、行政のデジタル化や効率化を強力に進め、それにより生み出されましたデータも活用しながら、県民が質の高い行政サービスを実感できる社会を目指すことといたしております。この実現に向け、県民がいつでもどこでも申請できる行政手続のオンライン化、電子決裁やペーパーレス会議等による行政事務の効率化、リモートラーニング等によるDX人材の育成やデータ利活用の推進などに関します十一の項目について、KPIとして設定いたしました。戦略に掲げる施策に着実に取り組み、これらのKPIを一つ一つ達成していきますことで、県民の皆様に対する行政サービスの質の向上につなげてまいります。今後、これらの取組の進捗をお示ししながら、具体的な成果について検証し、明らかにしていきたいと考えております。  次に、中小企業のDX推進についてでございます。中小企業がDXを導入するためには、DXに対する経営者の理解、自社の経営や事業を熟知し、デジタル技術にも明るい中核人材の育成が必要でございます。このため県では、昨年十一月に、九州経済連合会、九州大学、デロイトトーマツと共に九州DX推進コンソーシアムを設立し、経営者の理解を促しますとともに、企業内の中核人材の育成を行っております。また、物づくり分野の階層別人材育成講座におきましても、経営トップや中堅リーダーの育成を行っております。加えて、外部の専門家を活用することも重要でありますことから、中小企業生産性向上支援センターのデジタル支援ユニットにおきまして、アドバイザーを企業の現場に派遣しておりますほか、商工会議所の経営指導員などの支援人材の育成を行っております。さらに、中小企業の情報セキュリティーを強化いたしますため、中小企業振興センターや商工会議所等を通じた専門家派遣のほか、九州DX推進コンソーシアムにおきましても、サイバーセキュリティーに関する講座を設けております。今後もこうした取組により、県内中小企業のDX導入の支援を行ってまいります。  次に、旦過市場火災を受けた防災上の対策についてお尋ねがございました。県では、四月と八月の火災発生を受け、県内全ての消防本部に対し、商店街や木造住宅密集地域の関係者への火災予防の呼びかけや、消防用設備の再点検の実施を依頼いたしました。また、八月の火災を受け、消防庁の通知に基づき、全ての消防本部に対し、木造飲食店等が密集する地域で商店街組合や地域の住民等と連携して、火を使用する器具等の適切な取扱いや消防用設備等の適正な設置、維持管理の周知徹底、地域ぐるみの訓練の実施などを行うこと、また火災防御計画が未策定の地域がある消防本部に対しては、速やかに策定するよう要請いたしました。さらに、県民の皆様に対しては、県のホームページやSNSを通じて、住宅用火災警報器の設置や適正な維持管理を周知いたしますとともに、厨房の火災に対する注意喚起を行いました。  四月の火災の教訓と消防指導の在り方についてお尋ねがございました。北九州市消防局では、四月の火災以降、木造店舗が密集いたします地域の小規模店舗に対し、緊急特別査察を行い、防火指導を強化しておりました。しかしながら、八月の火災の火元と見られる飲食店を含め、その際に営業してなかった店舗の一部については連絡が取れず、防火指導を行うことができなかったとの報告を受けております。大規模火災を起こさないためには、各消防本部が現場をよく見て指導していくことが必要であると考えます。  次に、大規模火災の危険性が高い指定地域数と火災防御計画の策定状況についてお尋ねがございました。今年九月一日現在で、大規模火災の危険性が高い地域として、各消防本部で指定している地域は四百六十五存在いたします。このうち四百六十三の地域において火災防御計画が策定されており、残る二地域は、管轄消防本部において、現在策定中でございます。  飲食店の消火器具等の点検状況についてでございます。火を取り扱う飲食店には、消防法で消火器具を含めた消防用設備の定期的な点検と報告が義務づけられております。各消防本部では、この義務を履行しない事業者に対して電話、文書による督促や立入検査などを行い、点検報告の徹底に努めております。県といたしましては、二度にわたる旦過地区での大規模火災を踏まえ、各消防本部に対し、こうした取組を強化していくよう働きかけてまいります。また、食品衛生協会や商工会などに飲食店への周知について協力を求めますとともに、市町村や消防協会と連携し、啓発活動に努めてまいります。  大規模火災を防ぐための取組についてお尋ねがございました。大規模な火災を起こさないためには、まずは商店街や木造住宅密集地域の関係者の方々に、より高い防火意識を身につけていただくことが重要でございます。今後、各消防本部においては、消防庁通知に基づき、商店街組合や地域の住民等と連携して、消防用設備等の適正な維持管理の周知徹底や地域ぐるみの訓練などを行うことといたしております。県といたしましては、こうした防火指導の充実強化が図られますよう、各消防本部の取組について定期的にフォローアップ調査を行い、優良事例の紹介などを行ってまいります。また、県民お一人お一人の防火意識の向上に向けて、今後も各消防本部と連携し、春、秋の火災予防運動あるいは県の総合防災訓練など、あらゆる機会を通じて繰り返し啓発を行ってまいります。  次に、不妊治療に関しまして、県職員が不妊治療を受けやすい環境づくりについてでございます。県では、今年一月、不妊治療に係る特別休暇として出生サポート休暇を新設いたしました。この休暇は、一年につき五日取得可能で、体外受精等の頻繁な通院が必要とされる治療を受ける場合は、さらに五日取得できます。それまでは、医師が不妊症と診断した場合に限り、治療のために必要な期間、病気休暇が取得可能でしたが、新たな休暇ではこれに加え、不妊検査や医療機関が実施する説明会への出席も対象としたところでございます。休暇の手続に当たりましては、職員がより取得しやすいよう、医師の診断書の提出は求めないこととしております。また、制度導入の際にはリーフレットを作成し、こうした手続上の留意点を周知するとともに、全ての職員が不妊治療に関する理解を深めるよう促しております。こうしたことを通じ、休暇を取得しやすく、不妊治療と仕事を両立できる環境づくりに努めているところでございます。  不妊治療を受けやすい環境整備についてでございます。治療の予定が立ちにくく、頻繁な通院を要する不妊治療は、女性にとって負担が大きいため、仕事との両立ができず、離職する方もおられます。このため、不妊治療を受けながら安心して働き続けることができる環境整備を推進いたしますことは、女性の活躍推進の観点からも重要であると考えております。県では、これまで仕事と子育ての両立支援に取り組みます子育て応援宣言企業に対し、不妊治療の内容や職場における配慮のポイント、休暇制度等の導入事例を紹介いたしますなど、企業が不妊治療と仕事の両立支援に取り組まれるよう促してまいりました。今年四月から不妊治療の保険適用が開始され、治療を希望される方が増加するものと見込まれます。このため、今後はこれまでの取組に加え、県と経済団体等で構成いたします福岡県女性の活躍応援協議会のネットワークや福岡労働局の企業説明会等を活用しまして、より多くの企業が、不妊治療に利用できる休暇制度の整備など治療と仕事の両立支援に取り組んでいただきますよう働きかけを行ってまいります。また、県のホームページなど様々な広報媒体を活用いたしまして、不妊治療を取り巻く現状を発信いたしますことで、治療と仕事の両立支援の必要性に対する県民の皆様の理解を促し、不妊治療を受けやすい環境整備を推進してまいります。  次に、男子トイレのサニタリーボックスの設置についてお尋ねがございました。加齢により排尿機能が低下した高齢者の方や、前立腺がんや膀胱がんの治療を行った方の中には、尿漏れや頻尿の症状が出ますため、尿漏れパッドや紙おむつを使用される方がいらっしゃいます。このような方々から、外出先で捨てられない、持ち帰る際の臭いが気になるなどの声がございますことから、外出先のトイレにサニタリーボックスが設置されれば、安心して外出していただくことができるようになるものと考えます。県有施設につきましては、今年六月時点で、全二百九十八施設のうち、福岡西総合庁舎や四王寺県民の森など二十一の施設において、サニタリーボックスを設置している男子トイレがございます。今後、これら設置済みの男子トイレの使用状況を調査し、防犯や安全上の問題がないか、現在の管理委託業者による対応が可能かといった点について確認をいたしました上で、可能な場所について設置を進めてまいります。また、バリアフリー法で規定される不特定多数の方が利用する大規模施設の管理者や市町村に対しまして、実際の設置事例等の情報を提供し、設置についての検討を促してまいります。  次に、発達障がい者等の就労支援と若者サポートステーションの機能充実についてお尋ねがございました。若者サポートステーションに発達障がいのある方から御相談がありました場合には、障害者手帳をお持ちかどうかにかかわらず、本人の御意向を丁寧に酌み取り、ハローワーク、障害者就業・生活支援センター、発達障がい者支援センターなどの専門機関に同行したり、あるいは地元企業の協力をいただいて就労体験を行うなど、連携を強化して対応に努めているところでございます。また、御要望に応じ、臨床心理士等による心理相談も行っております。こうした活動内容につきましては、県内の幅広い支援機関の情報をまとめました福岡県就労サポートマップを作成しまして、市町村、各支援機関等に配布いたしますほか、県のホームページやSNS等の県の広報媒体も活用して広く周知を行っておるところでございます。今後、家族や友人、高校や大学の進路担当者、民生委員など身近な方を通して、本人にサポートマップの情報が着実に届きますよう工夫を行ってまいります。  発達障がい者等に対する障がい者雇用拡大事業の広報及び機能強化についてお尋ねがございました。本事業では、障害者雇用促進法の趣旨にのっとり、障害者手帳のあるなしにかかわらず、障がい者全般を支援対象とした就労支援を行っております。しかし、現行の障がい者雇用の成果指標である障がい者法定雇用率は、障害者手帳をお持ちの方のみを算入する仕組みとなっておりますため、企業の採用の状況を見ますと、手帳をお持ちの方の採用が優先される傾向にございます。このため本事業では、昨年度六百九十三名の障がいのある方が利用登録をされ、二百六十三名の方が就職に至っておりますが、このうち手帳をお持ちでない方の登録は三十七名、就職に至ったのは五名となっているところでございます。そこで、県といたしましては、手帳の有無を問わないこの事業の特徴を県のホームページで広く周知いたしますほか、チラシやリーフレットの配布によりまして、求人企業や求職者の理解を深めてまいります。また、求職される方に対し、家族や友人、学校や施設、その他様々な支援機関を通じて、御本人に着実にこの事業の情報が届くよう工夫をしてまいります。さらに、障がいのある方お一人お一人の得意分野、また適性を企業側に丁寧に伝えていくことで、手帳をお持ちでない方の就労支援の強化に努めてまいります。併せて、制度面でも手帳をお持ちでない方の就労が促進されますよう、国に対し、手帳の有無によらない障がい者雇用率制度の確立及び助成金制度の改善を要望しているところでございます。  障害者手帳アプリの利用推進についてお尋ねがございました。議員御紹介のミライロIDは、マイナポータルと連携をいたしておりまして、最新の障害者手帳の情報が反映されますとともに、障がいのある方が配慮事項を自ら記載できる機能もございます。確実な本人確認や配慮事項の伝達など、施設利用の利便性向上のために有効なものであると考えております。県におきましては、障がいのある方に対する利用料金等の減免を行っております十七の施設のうち、アジア文化交流センター、美術館、青少年科学館の三つの施設ではミライロIDを利用できる状況にございます。今後、速やかに全ての県有施設で利用が可能となるようにいたしますとともに、市町村に対しても、十一月に開催予定の障がい福祉担当課長会議において、このアプリを紹介してまいりたいと考えております。  次に、災害時の避難で、福祉避難所への直接避難の体制整備と市町村への支援強化についてでございます。直接避難を進めるには、まず福祉避難所への避難を要する方と避難を支援する方を特定し、具体的な避難方法等について個別避難計画を作成することが必要でございます。しかし、要配慮者の特定や受入れ施設の人材確保が進んでおらず、直接避難先を確保している市町村は二十四団体にとどまっている状況でございます。県では、個別避難計画の作成率が低い市町村と連携をいたしまして、避難支援者の確保、避難支援関係者で構成する協議会の設置、計画を作成するための手順書の整備などの取組を今年度から進めております。また、昨年五月に、指定福祉避難所の名称、所在地、受入れ対象などの公示が市町村に義務化されました。それから一年余りが経過をいたしました。これまでに公示を行っている市町村は二十五団体でございます。県では、法の施行直後に市町村説明会を開き、また公示が完了していない市町村に対しましては、公示を促す通知を発しているところでございまして、引き続き公示を促してまいります。  要配慮者向けの情報発信についてでございます。福祉避難所への直接避難は、個別避難計画を作成した上で、要配慮者ごとにあらかじめ決めておいた避難所に行っていただくものでありますことから、安全な避難のため、その開設状況を御本人と支援者にお知らせする必要がございます。現在は、支援者や避難者御本人が市町村に電話で問い合わせて利用をされております。現在、国におきましては、こうした機能のデジタル活用を含めた防災関連業務のシステム化が検討されております。実用化されますと、個別避難計画で定めた避難所への迅速な避難について効果が期待されますが、予定していた避難所が開設されなかった場合に、避難所の振り分けをどうするのか、こういった運用面に課題もございます。このため、今後、国の開発の動きを注視いたしますとともに、今申しましたような課題の解消ができるのか研究をしてまいりたいと考えております。  福祉避難所の確保と、資機材や人材の市町村への支援についてお尋ねがございました。市町村が指定いたします福祉避難所は七百か所ございまして、福祉避難所での現在の受入れ可能人数は二万一千五百人余りとなっております。県地域強靱化計画策定の際に、要配慮者数は三万人以上と推定をいたしておりまして、十分にはまだ確保できていないと考えております。県では、一般社団法人日本福祉用具供給協会や災害派遣福祉チーム(DWAT)を構成いたします福祉関係二十一団体との災害時協定を締結いたしております。市町村からの要請を受け、物資、機材の調達については県が、専門人材の派遣については県社会福祉協議会が事務局となりまして速やかに対応してまいります。  なお、避難所内の感染症対策につきましては、十分な換気を行うことが前提とされております。様々な空間清浄機が開発をされておりますが、消費者庁から不当表示に対する注意喚起も行われておりますことから、福祉避難所への導入につきましては、その効能を慎重に見定めていく必要があると考えております。  県立特別支援学校の福祉避難所としての活用についてでございます。県が作成いたしました福祉避難所設置・運営に関するマニュアルにおきまして、福祉避難所として利用可能な施設として特別支援学校を例示いたしておりまして、県立特別支援学校につきましては、現在、五つの市町において七校が指定されております。今後も市町村事務担当者説明会等を通じ、特別支援学校の福祉避難所への活用を働きかけてまいります。  次に、中小企業支援につきまして、事業承継の推進についてお尋ねがございました。県では、県内中小企業、小規模事業所の事業承継を強力に進めるため、国が設置した福岡県事業承継・引継ぎ支援センターをはじめ、商工会議所、商工会、金融機関、専門家団体など約百七十の関係機関で構成いたします福岡県事業承継支援ネットワークを構築いたしております。このネットワークでは、商工会議所、商工会の経営指導員や金融機関の職員を中心に、平成三十年度から昨年度までの四年間で約二万九千件の事業承継診断を実施いたしますとともに、必要な事業者に対し、中小企業診断士などの専門家を派遣することによりまして、四年間で約五千六百件の事業承継計画の作成を支援いたしました。今年度からは、新たに県内四地域の地域中小企業支援協議会に配置いたしておりますコーディネーターと経営指導員が、事業者の持つ技術やノウハウ、経営状況、M&Aの可能性などを踏まえ、事業者を訪問いたしております。今後一層、経営者の意向を丁寧に確認し、一社一社の状況を見極め、事業承継計画の作成や実行、国の事業承継・引継ぎ補助金や事業承継税制の活用、事業承継・引継ぎセンターのM&Aによる買い手のあっせん、さらには事業承継前の経営改善に活用できる県独自の補助金の活用など、事業者のニーズに沿ったきめ細かな支援につなげてまいります。これらの取組により、これまで以上に事業承継支援の効果が上がりますよう取り組んでまいります。  返済期間の延長についてお尋ねがございました。県制度融資におきましては、現在、返済期間や据置期間の延長といった返済条件の緩和措置を実施いたしております。具体的には、来年三月三十一日までに金融機関等の承認が得られれば、通常貸付期間十年、据置期間二年のところを、いずれも最長三年間延長できることといたしております。併せまして、金融機関や信用保証協会に対し、事業者からの返済条件変更の相談について柔軟な対応を行っていただきますよう要請をし、対応をいただいておるところでございます。  中小企業の生産性向上や設備投資についてでございます。中小企業が人手不足を解消し、経営の改善を図るためには、デジタル技術の活用による生産性向上が重要でございます。県では、今年度から新たに中小企業生産性向上支援センターの中にデジタル支援ユニットを開設をいたしまして、アドバイザーが直接現場に出向き、AIを活用した検査工程の省力化など、デジタル技術の導入による生産性向上の支援を集中的に行っております。その際には、必要なデジタル機器の設備投資に対する助成も行っておりまして、今後この拡充に向け、今議会において予算の増額をお願いしているところでございます。また、さきの六月補正予算におきましては、中小企業の生産性向上を促進するため、設備投資を後押しする国のものづくり補助金について、県独自の上乗せ補助も措置したところでございます。このような施策を着実に実施していくことによりまして、中小企業の生産性向上や設備投資の促進にしっかりと取り組んでまいります。  最後に、国の事業再構築補助金の利用促進についてお尋ねがございました。この補助金は、中小企業の新分野への展開や業態転換の取組に対し助成されるものでございまして、第七回の公募では、原油価格・物価高騰等の環境変化により影響を受けている事業者を支援いたしますため、緊急対策枠が新たに設けられ、補助率も引き上げられたところでございます。県では、ホームページでのPRをはじめ、県内の商工会議所、商工会等の窓口におけるチラシの配布、経営指導員による情報提供、さらには福岡県中小企業センターのよろず支援拠点による補助金活用のセミナー開催などによりまして、制度の変更点などを含めたこの補助金に関する周知を行っています。また、県内事業者による本補助金の利用促進のために、商工会議所、商工会の経営指導員による申請書の作成支援や、よろず支援拠点の中小企業診断士などの専門家による個別相談を行っているところでございます。なお、金額が少なく本補助金の要件を満たさない場合も、経営革新の取組についての県単独の補助金の利用を促しているところでございます。今後も、より多くの事業者の皆様にこの県と国の補助金を活用していただきますよう、迅速かつ丁寧な周知を行ってまいります。 18 ◯副議長(井上 博隆君) 吉田教育長。 *教育長答弁 19 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 学校における校務の効率化による教員のICT活用指導力向上の環境づくりについてでございます。教員が授業等においてICTを効果的に活用する力を向上させるためには、ICT活用に係る各種研修はもとよりでございますが、教員が主体的にICTを学ぶための時間の確保の観点から、校務の効率化を進めることは重要であると認識いたしております。県立学校におきましては、生徒の出席情報、成績情報、進路情報などを一元管理するシステムや、教員間の連絡、校内のスケジュール共有などができるグループウエアを導入しておりまして、校務のデジタル化を図っております。さらに、こうしたシステムを円滑に活用するため、各学校のシステム担当教員に対する操作研修の実施、ヘルプデスクの設置、ICT支援員の配置などの学校支援に取り組んでいるところでございます。今後とも、教員のICT活用指導力の向上及びICTの活用による校務や授業準備等の業務効率化に取り組んでまいります。  教育のICT化推進の目標についてでございます。福岡県学校教育ICT活用推進方針におきましては、ICTを学びの質と学力を向上させるための有効な手段と捉え、教員のICT活用指導力を高めることや、学びの基盤となる子供の情報活用能力を育成することなどを目標に掲げております。県教育委員会では、その目標達成に向けまして、学びの個別最適化や確かな学力の育成を実現することを研究テーマとして、県内六地域を指定し、小中学校におけるICTを活用した効果的な教育モデルの開発を行いますとともに、教員のスキルや役割に応じた複層的な研修を実施をしているところでございます。これからの社会を生きる子供たちに必要となる資質、能力を育むため、ICT機器の活用頻度に関する調査結果等のデータを活用しながら、これまでの教育実践とICT活用とのベストミックスによる教育の推進に努めてまいります。 20 ◯副議長(井上 博隆君) 岡部警察本部長。 *警察本部長答弁 21 ◯警察本部長(岡部 正勝君)登壇 まっ太フォンの普及対策の進捗状況についてお答えを申し上げます。県警察といたしましては、偽電話詐欺の被害を防止するためには、電話機対策をさらに推進する必要があると考えております。このため、本年四月、八月には、県と連携して県内市町村の防犯担当者を集めた会議を行い、国の交付金を活用したまっ太フォンの貸出し事業等の拡大に向けた働きかけを行っております。また、民生委員と連携した、まっ太フォン普及に向けた広報啓発活動等にも引き続き取り組んでいるところでございます。加えて、現在、通信事業者と連携した新たな取組を検討中であり、本取組を通じて電話機対策をさらに前進させ、被害防止に努めてまいりたいと考えております。  次に、検挙状況についてお答えを申し上げます。本年七月末における検挙人員につきましては三十三人、前年同期比プラス六人という状況であります。議員御指摘のとおり、偽電話詐欺の背後には暴力団などの犯罪組織の介在が認められますことから、県警察では総力を挙げた捜査を強力に推進しているところであり、本年八月には、実行犯を勧誘した暴力団構成員を検挙したところであります。  最後に、偽電話詐欺対策の決意についてお答えを申し上げます。県下の偽電話詐欺の被害は、その被害額が大幅に増加するなど極めて深刻な状況にあります。特に、被害者の多くが高齢者である偽電話詐欺は、これまで大切にためてきた財産を一瞬にしてだまし取る卑劣な犯罪であると認識しておりますことから、県警察といたしましては、一件でも多くの被害を防いでいくため、引き続き予防、検挙の両面から偽電話詐欺対策を強力に推進していく所存でございます。 22 ◯副議長(井上 博隆君) 以上で代表質問を終わります。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 三 時 二十三分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...